高知家 × FUJITSU × TechShop
IOTハッカソン参加記録

よさこい祭 × 地方車 × 鳴子 × 高知県産トマト
高知家学講座2017秋「IOTハッカソン」に参加し、チームで制作した「よさこい祭 × 地方車 × 鳴子 × 高知県産トマト」のプロモーション作品で、参加者MVPを受賞しました。
今回のテーマは、高知県の魅力をIoTとものづくりで発信することです。よさこい祭、地方車、鳴子、土佐木材、土佐和紙、高知県産トマト、LED、Arduino、レーザーカッター、3Dプリンターなどを組み合わせながら、高知らしさを体験として伝える作品づくりに挑戦しました。
チームでは、高知県産トマトをPRするために、よさこい祭の象徴である地方車と鳴子をIoT化しました。鳴子を振る動きに合わせて、地方車に設置したトマトが光る仕組みを制作し、踊り、音、光、地域資源が連動するプロモーション体験として設計したことが大きな特徴です。
この記事で整理していること
・高知家学講座2017秋 IOTハッカソンの参加概要
・よさこい祭と高知県産トマトを組み合わせた企画背景
・6名チームでのアイデア出しと制作プロセス
・地方車、鳴子、トマト型LED演出の設計と制作
・Arduino、レーザーカッター、3Dプリンター、土佐和紙を使ったものづくり
・参加者MVP受賞と、地域PRを体験化する学び
司会パンダ 作品紹介
高知県の地域資源を、IoTとものづくりで体験化したハッカソン作品です
完成作品
よさこい祭と高知県産トマトをつなぐプロモーション体験
まずは、最終的に完成したプロモーションビデオです。地方車、鳴子、トマト、光の演出がどのように組み合わさったのかを、映像で確認できます。
この作品では、よさこい祭で使われる鳴子を振ると、地方車に設置したトマト型のLEDが光ります。高知県らしい文化である「よさこい」と、地域資源である「高知県産トマト」を、見るだけではなく触れて楽しめる体験としてつなげました。
制作プロセス
イベント概要
高知家学講座2017 IOTハッカソンとは
「高知家学講座2017 IOTハッカソン」は、高知県の地域資源を活かしながら、IoTやデジタルファブリケーションを使って新しいプロモーション体験を考えるイベントでした。
会の目標コンセプトとしては、「よさこい祭」で高知県産のトマトをPRすること、そして「土佐のお茶」で高知県産のトマトをPRすることが掲げられていました。私たちのチームでは、その中でも高知を代表する祭りである「よさこい祭」に着目し、地方車と鳴子を使った体験型プロモーションを企画しました。
ものづくりの面では、TechShopの設備を活用し、レーザーカッター、UVプリンター、3Dプリンター、Arduino、LED、和紙、木材などを組み合わせました。企画だけで終わらせず、実際に動くプロトタイプとして完成させることを目指した点が、このハッカソンの大きな魅力でした。
地域PRを「体験」として設計する
高知県産トマトを知ってもらうために、単に商品説明をするだけでは印象に残りにくいと考えました。そこで、よさこい祭の動きや音、地方車の存在感、鳴子を振る楽しさを取り入れ、トマトのPRそのものを参加型の体験に変えることを目指しました。
地域の魅力を伝えるには、情報を並べるだけでなく、記憶に残る体験へ変換することが大切です。今回の制作では、その考え方をチーム全体で共有しながら進めました。
企画インプット
よさこい祭と高知県産トマトの背景を知る
企画を考える前に、まず高知県の魅力や背景について情報をインプットしました。特に重要だったのが、高知を代表する「よさこい祭」と、フルーツトマト発祥の地としての高知県のストーリーです。
高知県を代表する「よさこい祭」
よさこい祭は、毎年8月に高知市で開催される大規模なお祭りです。前夜祭、本番、全国大会、後夜祭と数日間にわたって開催され、数多くのチームが個性豊かな演舞を披露します。
よさこい祭の特徴は、踊り、音楽、衣装、地方車、鳴子などが一体となっていることです。特に地方車は、チームの世界観を伝える大きな舞台装置のような役割を持っています。そこで私たちは、よさこい祭の楽しさと高知県産トマトのPRを組み合わせられないかと考えました。

フルーツトマト発祥の地としての高知
高知県は、フルーツトマト発祥の地としても知られています。徳谷地区では、台風による海水被害という厳しい状況の中で、土壌に残った塩分によって小粒ながら甘いトマトが育ち、のちに全国的に知られるようになりました。
このストーリーは、単に「おいしいトマトをPRする」という話ではありません。逆境から生まれた地域の価値を、どう多くの人に伝えるかというテーマでもあります。だからこそ、今回の企画では、トマトを単なる装飾として扱うのではなく、高知らしい体験の中心に置くことを意識しました。
司会パンダ チーム企画
6名チームでアイデアを出し、体験型プロモーションへ落とし込む
制作前の企画段階では、6名のチームでインプット情報をもとにアイデア出しを行いました。高知県産トマト、よさこい祭、地方車、鳴子、土佐木材、土佐和紙など、複数の要素をどう組み合わせるかを検討しました。
チームで重視したのは、「高知県産トマトを知ってもらう」だけではなく、「高知らしい体験として記憶に残ること」です。そのため、よさこい祭の象徴である鳴子を振る動きと、地方車のトマトが光る演出を連動させる方向で企画を進めました。
鳴子を振ると、地方車に設置したトマト型のLEDが反応して光る。踊りの動きが、光の演出となり、トマトのPRにつながる。そんな参加型のプロモーション体験を目指しました。

企画の軸は「見る」から「参加する」へ
地域PRの展示は、見るだけのものになりがちです。しかし、今回は鳴子を振ることで光が反応するため、参加者自身の動きが作品の一部になります。
この「自分が動かすと反応する」という体験は、IoTを使う意味をわかりやすく伝えます。さらに、よさこい祭の文化である鳴子の動きと連動させることで、技術だけが目立つのではなく、高知県らしさを自然に感じられる構成にしました。
設計図面
地方車を形にするための図面制作
地方車を制作するためには、レーザーカッターで木材を切り出すための設計図面が必要でした。私はエンジニアメンバーと相談しながら、基板寸法、配線、部品の配置、ランプの位置などを考慮して図面を作成しました。
最初に作った図面から、そのまま完成まで進んだわけではありません。実際に基板や配線を購入した後に寸法変更が発生したり、ランプのID割り振りを変更したりと、制作を進める中で何度も調整が必要になりました。
この工程では、デザイン図面を描くだけではなく、実際に動くものとして組み上がるか、配線や部品が干渉しないか、光の見え方に問題がないかといった実装面も意識する必要がありました。


図面と実装を行き来しながら調整する

ハッカソンでは時間が限られているため、設計を完璧に固めてから制作するのではなく、作りながら調整する場面も多くあります。特に今回は、木材パーツ、LED、配線、トマト型パーツ、外装デザインがすべて関係していたため、図面と実物のすり合わせが重要でした。
部品制作
土佐木材を活かした地方車の部品制作
地方車の部品制作では、土佐木材の木目を活かしながら、UVプリンター印刷やニス塗りを行いました。木材の質感を残しつつ、よさこい祭の地方車らしい重厚感が出るように仕上げています。
ただの模型ではなく、高知県らしさを伝えるプロモーション作品として見えるように、素材選びや表面仕上げにもこだわりました。ニスは二度塗りし、木目の美しさと展示物としての存在感を両立させることを意識しました。

高知を代表する柄を地方車に割り当てる
地方車の装飾には、高知を代表するモチーフを部位ごとに割り当てました。車の底側には海や鯨、中程には四方竹、天側には鳴子などを配置し、地方車全体で高知の魅力が伝わるように設計しています。
- 車の底側:海や鯨
- 中程:四方竹
- 天側:鳴子など
小さな地方車の中に複数の地域要素を組み込むことで、見た人が「高知らしさ」を感じられるデザインを目指しました。

組み立て
地方車の組み立てとトマト型パーツ制作
設計図面をもとに切り出した部品を組み立て、地方車の形にしていきました。木材のパーツ、装飾、LED、トマト型パーツ、配線を組み合わせながら、見た目と動作の両方を調整しています。
LEDが輝く球体はトマトをモチーフにしています。大きなトマトは和紙で制作し、小さなトマトは3Dプリンターで成形しました。トマトの質感や光の透け方が変わるため、素材ごとの見え方を確認しながら制作を進めました。


土佐和紙でトマトの光を表現する
大きなトマトには土佐和紙を使用しました。和紙は光をやわらかく拡散できるため、LEDを内側に入れたときに温かみのある光り方になります。
制作時には、光の拡散具合や照度を確認しながら、トマトとして見える形と光の演出のバランスを調整しました。地域素材である土佐和紙を使うことで、見た目だけでなく素材そのものにも高知らしさを込めています。


IoT連動
鳴子を振るとトマトが光る仕組み
今回の作品で特に重要だったのが、鳴子の制作です。よさこい祭に欠かせない鳴子にArduinoを埋め込み、鳴子を振る動きに合わせて地方車のトマトが光る仕組みを作りました。
鳴子の中に仕込んだ配線や基板に人体が触れることで反応し、地方車側のLED演出につながる構造です。踊り手のアクションが光の演出に変わるため、見るだけではなく参加して楽しめる体験になります。
この仕組みによって、鳴子を振る行為そのものが、高知県産トマトをPRするインタラクションになりました。よさこい祭の文化とIoTの技術をつなぐ、今回の作品の核となる部分です。



文化的な動作を、デジタル演出に変える
鳴子を振るという動作は、よさこい祭にとって象徴的なアクションです。その動きに反応してトマトが光ることで、文化的な動作とデジタル演出が自然につながります。
IoTの仕組みを前面に出すのではなく、ユーザーから見ると「鳴子を振ったらトマトが光る」というシンプルな体験になるようにした点がポイントです。
司会パンダ 音と光の演出
制作過程で広がったトマトパーカッションのアイデア
制作過程では、地方車や鳴子だけでなく、音やパーカッション要素も含めて検討しました。よさこい祭は踊りだけでなく、音の印象も強いイベントです。そのため、トマト型のパーカッションやうちわなど、関連するおまけ作品も制作しました。
IoTハッカソンでは、完成度の高い一点を作るだけではなく、短時間でアイデアを試し、動くものとして形にしていくことが重要です。今回も、地方車、鳴子、トマト、光、音といった要素を試しながら、最終発表に向けて組み合わせていきました。

プロモーションを多感覚で伝える
トマトを「見る」だけでなく、「振る」「鳴らす」「光る」といった体験に広げることで、参加者の記憶に残りやすくなります。食材のPRを、視覚、聴覚、身体の動きと組み合わせた点が、今回の企画の面白さでした。
発表と受賞
最終発表と参加者MVP受賞
最終発表では、制作した地方車、鳴子、トマト型パーツ、光の演出を使いながら、チームで作品のコンセプトと仕組みを紹介しました。
企画のポイントは、高知県産トマトをよさこい祭の文化と結びつけてPRしたことです。鳴子を振るという高知らしいアクションによって、地方車のトマトが光る。見る人にも体験する人にも伝わりやすい形にできたことが、評価につながったと感じています。
結果として、参加者MVPを受賞することができました。チームでのアイデア出し、図面作成、部品制作、組み立て、IoT実装、発表までを短期間で走り切れたことは、とても大きな経験になりました。
発表の様子


参加者MVP受賞後のコメント
受賞後は、制作した作品についてコメントする機会もありました。今回の作品は、地域資源をPRするためのアイデアでありながら、実際に手を動かして作ったプロトタイプでもあります。
図面を描き、木材を切り出し、和紙でトマトを作り、鳴子にArduinoを組み込み、光の演出をつなげる。企画と制作が一体になった経験だったからこそ、受賞の喜びも大きいものになりました。

司会パンダ おまけ作品
トマトパーカッションと関連小物
メイン作品のほかに、トマトパーカッションや関連する小物も制作しました。よさこい祭のリズムや音の楽しさを、トマトのプロモーションに結びつけるためのアイデアです。
トマトという食材を視覚的に見せるだけではなく、音や動きと組み合わせることで、より印象に残る体験にできると考えました。


短時間で複数のアイデアを形にする
ハッカソンでは、メイン作品を完成させるだけでなく、周辺アイデアを試すことも学びにつながります。今回のおまけ作品は、トマトPRの可能性を広げる実験でもありました。
公開展示
よさこい展示場での期間限定公開展示
完成した作品は、よさこい展示場にて期間限定で公開展示されました。他3チームの作品と一緒に展示され、多くの人に見てもらえる機会をいただきました。
ハッカソンで制作したものが、発表の場だけで終わらず、実際の展示空間に置かれたことはとても嬉しい経験でした。地域資源をテーマにした作品だからこそ、展示を通じて高知の方々や来場者に触れてもらえることに意味があると感じました。


展示されることで、地域との接点が生まれる
制作物が展示されると、ハッカソン内の成果物から、地域の人に見てもらえる作品へ変わります。プロトタイプであっても、実際の場所に置かれることで、地域PRとしての可能性や改善点が見えやすくなります。
学び
この経験から学んだこと
今回のIoTハッカソンで学んだのは、地域の魅力は「情報」として伝えるだけでなく、「体験」として設計することで記憶に残りやすくなるということです。
高知県産トマトをPRする場合、ただポスターや説明文を作るだけでは印象に残りにくいかもしれません。しかし、よさこい祭の鳴子を振ると地方車のトマトが光るという体験にすることで、見た人や触れた人の記憶に残るプロモーションになります。
また、レーザーカッター、3Dプリンター、Arduino、LED、和紙、木材などを組み合わせることで、デジタルとアナログの両方を活かした表現ができることも学びました。
学びになったポイント
- 地域資源は、ストーリーと体験を組み合わせることで伝わりやすくなる
- IoTは、見るだけの展示を参加型の体験に変えられる
- レーザーカッターや3Dプリンターを使うと、短期間でも形あるプロトタイプを作れる
- 素材選びや光の見え方まで考えることで、地域らしさを表現できる
- チームで企画、設計、制作、発表まで進めることで、多面的な学びが得られる
まとめ
高知らしさをIoTで体験に変えたハッカソン
高知家学講座2017「IOTハッカソン」は、高知県の魅力をIoTとものづくりで表現する貴重な機会でした。
私たちのチームは、よさこい祭の地方車と鳴子に、高知県産トマトのPRを組み合わせました。鳴子を振るとトマトが光るというシンプルで楽しい仕組みによって、地域の文化、食材、素材、技術をひとつの体験としてまとめることができました。
参加者MVPを受賞できたことはもちろん嬉しい経験でしたが、それ以上に、地域資源を理解し、アイデアを出し、図面を描き、実際に手を動かして形にし、発表までやり切ったことが大きな学びになりました。
これからも、地域や人の魅力をただ説明するだけでなく、触れて、動かして、記憶に残る体験として設計することを大切にしていきたいと思います。
司会パンダ