【設計】IoT / 電子工作

「よさこい祭り×高知トマトのIoT体験設計|育む!高知トマト PRD」

2017.12.02

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PRD記事MVP実装記事改善記事

本記事は、高知家学講座2017のIoTハッカソンで制作した「育む!高知トマト」を、ポートフォリオ向けのPRD記事として再構成したものです。

「よさこい祭り」と「高知県産フルーツトマト」を掛け合わせ、踊り子・見学者・運営側が一体となって高知トマトの魅力に触れられる体験を設計しました。

高知家学講座2017で制作したよさこい祭りと高知トマトをテーマにした作品全体よさこい祭りの地方車と高知トマトを組み合わせたIoTプロトタイプの様子です。

2018年1月より「よさこい情報交流館」で展示されTV放送で紹介されました。
当ページでは、この展示までの軌跡をご紹介します。

01. プロジェクト概要

01-ⅰ. 企画の位置づけ

「育む!高知トマト」は、高知県産のトマトをより印象的にPRするために、よさこい祭りの文脈とIoT表現を組み合わせた体験型プロトタイプです。

単にトマトを紹介するのではなく、鳴子を振る、地方車が光る、トマトに触れると音が鳴るといった身体的な体験を通じて、参加者の記憶に残るPR体験を目指しました。

01-ⅱ. 成果として整理できること

  • 高知家学講座2017のIoTハッカソンにチームで参加
  • 6名チームで情報収集、アイデア出し、設計、制作、発表まで実施
  • 参加者MVPを受賞
  • 制作物は、他チームの作品とあわせて期間限定で展示

02. 背景と課題

02-ⅰ. 高知トマトをどう記憶に残すか

高知県はフルーツトマトの発祥地として知られています。一方で、特産品の魅力を伝える場面では、説明や展示だけでは来場者の記憶に残りにくいという課題があると考えました。

そこで、トマトそのものの甘さや希少性を説明するだけでなく、「触る」「鳴らす」「光る」「踊る」といったインタラクションを通じて、楽しみながらトマトを覚えてもらう体験を企画しました。

02-ⅱ. よさこい祭りとの接続

高知の文化として強い認知を持つよさこい祭りには、鳴子、地方車、踊り、音楽、衣装、観客との一体感といった要素があります。

この文脈に高知トマトを重ねることで、特産品PRを「見る展示」ではなく「参加できる祭り体験」へ変換できると考えました。

03. プロダクトコンセプト

03-ⅰ. コンセプト

踊り子、見学者、運営側が三者一体で楽しめる、高知トマトのIoTパレード体験。
鳴子を振ると地方車上のトマトLEDが連動し、トマトに触れるとパーカッションとして音が鳴る。さらに、うちわや看板を通じてプレゼント応募につなげることで、祭りの熱量を特産品PRへ接続する構想です。

03-ⅱ. 企画名

発表資料上の作品名は「育む!高知トマト」です。

「手間暇をかけて甘く育つ高知トマト」と、「踊りや参加体験を通じて関心を育む」という意味を重ね、食材の背景と体験価値の両方を伝える名称として整理できます。

育む高知トマトの発表資料発表資料:作品名「育む!高知トマト」と体験概要

04. 想定ユーザーと提供価値

04-ⅰ. 想定ユーザー

  • よさこい祭りに参加する踊り子
  • 沿道や展示会場で見る見学者
  • 高知県産トマトをPRしたい運営・事業者
  • 高知の文化や食に興味を持つ来場者

04-ⅱ. ユーザー別の価値

  • 踊り子:鳴子を振る動作が光の演出につながり、踊りの一体感を高められる
  • 見学者:地方車のトマトLEDや音の反応により、見て楽しいPR体験になる
  • 運営・事業者:高知トマトの印象を、文化体験と結びつけて伝えられる

05. 体験設計

05-ⅰ. 基本体験フロー

踊り子が鳴子を振る
        ↓
鳴子側のセンサーが動作を検知
        ↓
地方車上のトマトLEDが連動して点灯
        ↓
見学者が光の演出に気づく
        ↓
トマトやうちわなどの接点から高知トマトへの関心につなげる

05-ⅱ. 展示・発表時の体験フロー

来場者が作品を見る
        ↓
トマトを模した造形や地方車の装飾に興味を持つ
        ↓
鳴子やトマト型パーカッションの反応を体験する
        ↓
高知トマトの特徴やよさこいとの関係を理解する
        ↓
作品全体を通じて高知県産トマトの印象が残る

06. 主要機能

06-ⅰ. 鳴子と地方車LEDの連動

鳴子内にArduinoを組み込み、鳴子の動きや接触に反応して地方車上のトマトLEDが光る仕組みを構想・制作しました。

よさこいに欠かせない鳴子の動作を、そのまま高知トマトのPR演出へ転換する点が、この体験の中心です。

トマト型鳴子の試作品
トマト型の鳴子。祭りの動作とIoT演出を接続する入力デバイスとして設計

06-ⅱ. トマト型パーカッション

生トマトに触れると静電気センサーが反応し、楽器パーカッションのように音を鳴らす体験を設計しました。

食材であるトマトを、ただ見る対象ではなく、音を生むインタラクションの入口として扱うことで、子どもや来場者にも伝わりやすい体験にしています。

06-ⅲ. うちわ・看板を使った参加導線

地方車側面の看板やうちわにNFCを内蔵し、触れることでプレゼント応募に参加できる導線も構想しました。

MVP段階では応募参加の仕組みは展示品に実装されていないため、将来的な拡張案として整理します。

07. UI/UX設計意図

アイデア出しから設計への移行

最初に、高知県のよさこい祭りやフルーツトマトに関する情報をインプットし、チームでアイデアを整理しました。

その後、地方車を中心に、鳴子、トマト、LED、うちわ、NFC、パーカッションといった要素をどう接続するかを設計図に落とし込みました。

チームで出したアイデアやスケッチチームでのアイデア出しと、地方車・鳴子・トマト演出の初期スケッチ

07-ⅰ. 高知らしさが一目で伝わる外装

地方車の外装には、高知を代表する柄やモチーフを部位ごとに割り当てました。

  • 車の底側:海や鯨
  • 中ほど:四方竹
  • 天側:鳴子など

見学者が近づいたときに、トマトだけでなく高知の文化的要素にも触れられるよう、情報量を装飾として埋め込んでいます。

07-ⅱ. 光で視線を集める設計

地方車上のトマトはLEDで光る球体として設計しました。大きなトマトには土佐和紙を使い、小さなトマトは3Dプリンターで成形しています。

土佐和紙は、光を柔らかく拡散させる素材として機能し、祭りや展示会場の中でも視線を集めやすい演出につながります。

完成した地方車と光るトマトの展示状態
光るトマトと地方車の装飾。文化要素と食材PRを同じ画面内に配置

08. 技術設計

08-ⅰ. ハードウェア構成

設計図面では、Arduino、Raspberry Pi、NFC、LED、配線、トマト造形を組み合わせ、入力と出力が連動する構成を整理しました。

実制作では、基盤寸法や配線の取り回しをエンジニアと確認しながら図面を作成し、購入後の部品寸法に合わせて調整しています。

地方車の図面とArduinoやRaspberry Piなどの配置設計
地方車の外観・配線・基板配置を整理した設計図面

08-ⅱ. 制作方法

  • レーザーカッターで地方車の部品を切り出し
  • UVプリンターで外装パーツを印刷
  • 土佐和紙を使い、光の拡散や照度を確認

3Dプリンターで小型トマトパーツを成形

LEDが輝く球体はトマトデザインとし、大トマトは和紙。小トマトは3Dprinterで成形致しました。

ニスを二度塗りし、土佐木材の木目を活かした仕上げに調整

09. MVP範囲と未実装範囲

09-ⅰ. MVPとして実装・検証した範囲

  • よさこい地方車を模したプロトタイプ
  • トマト型LED演出
  • 鳴子を使った入力デバイス
  • トマト型パーカッションの試作
  • 発表用の体験シナリオと展示構成

09-ⅱ. 構想・将来拡張として扱う範囲

  • 実際のよさこい祭りでの大規模運用
  • NFCを使ったプレゼント応募導線の本番実装
  • 複数の踊り子・複数デバイスを同時に扱う同期制御
  • 来場者データや応募データを使った効果測定

ポートフォリオ上では、実装済みのMVPと、企画段階の拡張案を分けて記載することで、事実と構想の境界が伝わるようにしています。

10. 将来構想

10-ⅰ. 祭り会場での拡張

実際の祭り会場で展開する場合は、鳴子の数、通信範囲、屋外環境、電源、メンテナンス性を考慮する必要があります。

一方で、鳴子と地方車の連動はよさこいの文化と自然に接続できるため、参加者の動きそのものをPR演出へ変換できる可能性があります。

10-ⅱ. 特産品PRへの展開

本企画の考え方は、高知トマトに限らず、地域文化と特産品を組み合わせた体験型PRへ応用できます。

「地域の動作」「地域の素材」「地域の物語」をIoTでつなぐことで、説明中心の展示から、参加して覚えるプロモーションへ発展させられると考えています。

11. まとめ

11-ⅰ. PRDとしての整理

「育む!高知トマト」は、よさこい祭りの身体性と高知トマトの魅力を結びつけた、体験型PRプロダクトです。
企画では、誰に何を伝えるかを整理し、鳴子、地方車、トマト、うちわ、LED、音といった要素を一連の体験に落とし込みました。

短期間のハッカソン制作ではありましたが、課題設定、コンセプト設計、UI/UX設計、技術設計、MVP制作、発表、展示までを一連で経験できたプロジェクトです。

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