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優良ドライバーチェッカー -MVP|JINS-MEMEとSDLによるMVP検証

2019.11.25

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プロジェクト概要

  • プロジェクト名:優良ドライバーチェッカー
  • ジャンル:車載連携アプリ / 運転診断サービス / 安全運転支援
  • MVP範囲:JINS-MEMEとSDLを活用した運転チェック体験の検証
  • 主な検証テーマ:左折時の巻き込み確認、眠気検知、脇見運転、姿勢検知、運転後の振り返り
  • 使用技術:SDL、JINS-MEME、Monaca、Cordova
  • 検証期間:2019年7月〜2019年11月
  • 成果:SDLアプリコンテスト2019 グランプリ受賞
  • 担当:企画、検証シナリオ設計、発表資料作成、デモ構成、実装検証

1. はじめに

優良ドライバーチェッカーのアイキャッチ

本記事では、SDLアプリコンテスト2019でグランプリを受賞した「優良ドライバーチェッカー」について、MVP検証の観点で整理します。

企画としては、運転中の確認行動や注意力を可視化し、教習所の教官のようにリアルタイムで指導するアプリを目指しました。一方で、コンテスト応募時点では、すべての構想を完成形として実装するのではなく、JINS-MEMEとSDLを使って、運転チェック体験が成立するかを検証することが主な目的でした。

本記事では、ハッカソン参加からグランプリ受賞までの流れ、実装で苦労した点、検証できたこと、今後の改善点をまとめます。

参加から受賞までの流れ

優良ドライバーチェッカー発表時の様子

  1. SDLアプリコンテスト2019に応募しようぜハッカソン@東京に参加(2019/7/28、7/29)
  2. 東京会場でアイデアソン形式の発表機会を得て、「優良ドライバーチェッカー」の企画が誕生
  3. JINS-MEMEを購入(2019/8/26)
  4. SDLアプリコンテスト2019に応募しようぜハッカソン@大阪に参加(2019/9/14、9/15)
  5. 大阪会場で、実装に向けた検証と開発修行を実施
  6. コンテスト一次選考へ作品を応募提出(2019/10/31)
  7. Monacaでの開発にて、JINS-MEME連携やCordova環境のエラー対応を進める
  8. 発表直前にレンタカーで撮影し、動画編集とスライド作成を実施
  9. 優良ドライバーチェッカーでグランプリ受賞(2019/11/22)

SDLハッカソン東京・大阪の参加レポートを見る

2. MVPで検証したかったこと

  • 検証1:JINS-MEMEで運転中の首振りや確認行動を検知できるか
  • 検証2:SDLの車載情報とアプリ体験を組み合わせられるか
  • 検証3:左折時の巻き込み確認を、アプリが支援できる体験として表現できるか
  • 検証4:眠気、脇見、姿勢などの状態を運転チェックに活用できるか
  • 検証5:教官キャラクターによる指導体験が、運転中の注意喚起として成立するか
  • 検証6:運転終了後の振り返りが、安全運転の学習体験につながるか

特に重視したのは、左折時の巻き込み確認です。サイドミラーを確認したか、左後方を確認したか、歩行者や自転車を確認したかといった行動を、JINS-MEMEや車載情報を使ってチェックできれば、安全運転支援の価値を示せると考えました。

3. ハッカソンからMVP制作までの流れ

優良ドライバーチェッカー発表時の様子

「優良ドライバーチェッカー」は、最初から完成形のアプリとして始まったものではありません。東京ハッカソンでのアイデア発表をきっかけに構想が生まれ、大阪ハッカソンで実装に向けた検証を進め、一次選考、最終発表準備を経て、SDLアプリコンテスト2019でグランプリを受賞しました。

3-1. 東京ハッカソンでのアイデア誕生

2019年7月に参加した「SDLアプリコンテスト2019に応募しようぜハッカソン@東京」では、実装チームとしてではなく、アイデアソン形式で発表する機会をいただきました。

この場で、車載情報とアプリを組み合わせて何ができるかを考えたことが、「優良ドライバーチェッカー」の出発点です。会場でSDLの仕組みやJINS-MEMEの存在を知り、運転中の確認行動や注意力を可視化できるのではないかという発想につながりました。

3-2. 大阪ハッカソンでの実装修行

東京ハッカソンで企画の方向性が見えた後、自分でも実装して応募したいという気持ちが強くなりました。そこで、2019年9月に「SDLアプリコンテスト2019に応募しようぜハッカソン@大阪」に参加し、実装に向けた検証を進めました。

大阪会場では、JINS-MEMEやSDLを使って、どこまで運転チェック体験を作れるのかを確認しました。首振り、まばたき、眠気、姿勢などの情報を、どのようにアプリ体験へ接続するかが大きな検証ポイントでした。

3-3. 一次選考への応募

2019年10月末に、SDLアプリコンテスト2019の一次選考へ作品を応募しました。

当初は、AWS、LINE Things、M5StackなどのIoT連携も構想していましたが、応募時点ではすべてを実装範囲に含めることはできませんでした。そのため、MVPとしては、JINS-MEMEとSDLを活用した運転チェック体験に検証範囲を絞りました。

3-4. 最終選考・発表準備

一次選考を通過した後は、最終選考に向けて発表資料、デモ動画、利用シーンの説明を準備しました。

Monacaでの開発では、JINS-MEMEプラグインやCordovaのバージョン差異によるエラーに悩まされました。一方で、発表では技術的な完成度だけでなく、「どんな課題を解決するのか」「運転中にどのように使うのか」「将来的にどんな世界を描けるのか」が伝わることも重要でした。

そのため、レンタカーで利用シーンを撮影し、動画編集とスライド制作を行い、体験全体が伝わる構成に整えました。

3-5. グランプリ受賞までの流れ

最終発表では、「優良ドライバーチェッカー」として、運転中の確認行動を可視化し、教官キャラクターがリアルタイムで指導する安全運転支援アプリの構想を発表しました。

JINS-MEMEによる首振り・まばたき・眠気・姿勢の検知、SDLによる車載情報との連携、左折時の巻き込み確認、運転終了後の成績管理といった要素を組み合わせ、MVPとして検証したい体験を具体的に示しました。

その結果、SDLアプリコンテスト2019にてグランプリを受賞することができました。

  • 2019年7月:東京ハッカソンでアイデアが誕生
  • 2019年8月:JINS-MEMEを購入し、検証準備を開始
  • 2019年9月:大阪ハッカソンで実装に向けた検証を実施
  • 2019年10月:一次選考へ作品を応募
  • 2019年11月:発表資料・デモ動画を準備し、最終選考で発表
  • 2019年11月22日:SDLアプリコンテスト2019 グランプリ受賞

4. 使用した技術・デバイス

JINS-MEMEの首振り、まばたき、眠気、姿勢の機能

  • SDL:車載情報とスマートフォンアプリをつなぐための基盤
  • JINS-MEME:首振り、まばたき、眠気、姿勢などを検知するメガネ型IoTデバイス
  • Monaca:アプリ開発環境として利用
  • Cordova:JINS-MEMEプラグインを利用するための実装環境
  • 撮影・動画編集:発表用デモの理解を補うために利用

JINS-MEMEを使いたかった理由

JINS-MEME

ハッカソン会場でJINS-MEMEの存在を知り、メガネ型IoTデバイスである点に強い興味を持ちました。

交通事故の要因を考えると、見る、確認する、注意するという行動が非常に重要です。そこで、首振り、まばたき、眠気、姿勢などを検知できるJINS-MEMEを使えば、運転中の確認行動をアプリ体験に変換できるのではないかと考えました。

特に実現したかったのは、左折時の巻き込み確認です。サイドミラーを見たか、左後方を確認したか、歩行者や自転車を確認したかといった行動を、運転チェックの対象にできないかを検証しました。

5. 検証シナリオ:左折時の巻き込み確認

左折時の巻き込み確認シナリオ

MVPで最も重要な検証シナリオは、左折時の巻き込み確認です。

  1. 交差点30m前に近づく
  2. 左折のウインカーを出す
  3. ブレーキで減速する
  4. 左側のサイドミラーを確認する
  5. 左側の原付バイクや自転車などの巻き込みを確認する
  6. 道路の左側へ寄せる
  7. さらにブレーキで減速する
  8. 歩行者や自転車の確認をする
  9. ハンドルを切って左折する

この一連の行動に対して、SDLから取得するウインカーやブレーキなどの車載情報と、JINS-MEMEの首振り・姿勢情報を組み合わせることで、確認行動の有無を判定する構想にしました。

“左折”のApp利用イメージ

左折フローをSDLとJINS-MEMEでチェックする構想

左折時には、車両側の動きとドライバー側の確認行動が連動します。たとえば、ウインカーを出して減速した後に、サイドミラーや左後方を確認できているかを判定できれば、確認不足への注意喚起が可能になります。

このMVPでは、実際の量産レベルの精度まで作り込むのではなく、車載情報とIoTデバイスを組み合わせることで、運転チェック体験の可能性を示すことを重視しました。

その他の検証シナリオ

5-1. 居眠り運転

居眠り運転の検知イメージ

  1. 運転中であることを検知する
  2. 一定時間、瞼を閉じている状態を検知する
  3. アラートで注意喚起する

5-2. 脇見運転

脇見運転の検知イメージ

  1. 下を向きすぎている状態を検知する
  2. 前方を見るように警告する

5-3. 姿勢検知

姿勢検知のイメージ

  1. 姿勢のブレを検知する
  2. 落ち着きがない状態や、ブレが頻繁に起きる状態を把握する
  3. 休憩や体操を促す

発表デモで伝えたかったこと

MVP検証では、実装の完成度だけでなく、発表デモとして「何ができるアプリなのか」が伝わることも重要でした。

そのため、実機連携の検証だけでなく、レンタカーでの撮影、利用シーンの動画化、スライドによる体験説明を組み合わせました。単に機能を並べるのではなく、ドライバーがアプリを使う流れ、運転中にどう注意されるのか、運転後に何を振り返るのかをストーリーとして見せることを意識しました。

6. 実装で苦労したこと

Monacaでの開発イメージ

JINS-MEMEは発売から数年が経過していたため、参考にできる記事やサンプルが古く、当時の環境でそのまま動かすことが難しい場面がありました。

特に、MonacaでJINS-MEMEプラグインを利用する際、古いCordovaのバージョンでは動いていたものが、新しいCordova環境ではエラーになるなど、開発初心者には対処が難しい問題がありました。

応募締切や決勝大会が近づく中で、メーカーに問い合わせながら検証を進める必要があり、実装面ではかなり苦労しました。

7. 検証して見えた課題

  • 技術環境の課題:古いサンプルやCordovaのバージョン差異により、実装エラーが起きやすかった
  • 検知精度の課題:首振りや姿勢だけで、実際の確認行動を正確に判定するには工夫が必要だった
  • 道路環境の課題:雨、雪、夜間、未舗装道路などでは、路肩や白線の検知が難しくなる可能性がある
  • 車種差分の課題:乗用車と大型トラックでは、巻き込み確認の方法や確認ポイントが異なる
  • 安全設計の課題:運転中に画面を見せすぎると、かえって危険になる可能性がある
  • 指導表現の課題:注意喚起の言い方によって、ユーザーの受け止め方が変わる

8. 改善につなげたいポイント

  • 運転中の画面表示を減らし、音声や短い通知を中心にする
  • JINS-MEMEの検知情報だけに頼らず、車載情報や画像認識と組み合わせる
  • 左折時の確認行動を、車種や道路環境ごとに調整できるようにする
  • 教官キャラクターの口調を選べるようにし、指導を受け入れやすくする
  • 運転終了後の振り返り画面を強化し、危険だったポイントを可視化する
  • 過去履歴との比較で、上達度や改善傾向を確認できるようにする

運転後の振り返り検証

運転終了後の成績管理

運転中の注意喚起だけでなく、運転後に自分の運転を振り返ることも重要な体験として設計しました。

筋トレやヘルスケアと同じように、成果が見えると継続しやすくなります。運転後に「本日の総評」「危険だったポイント」「過去の運転履歴との比較」が確認できれば、次回の運転で何に気をつけるべきかが明確になります。

中長期的には、ユーザーの運転傾向を統計的に分析し、性格や体調、道路環境と事故リスクの関係を把握できる可能性もあります。業務ドライバーの安全運転管理にも応用できると考えました。

9. MVP検証から得た学び

今回のMVP検証で得た大きな学びは、アイデアの面白さと、実装の難しさは別であるということです。

JINS-MEMEで首振りや姿勢を取得できるとしても、それを「安全確認した」と判断するには、車載情報、道路状況、車種、天候、タイミングなど、多くの条件を考慮する必要があります。

一方で、企画を実装検証に近づけたことで、単なるアイデアでは見えなかった制約や改善点が明確になりました。MVPは完成品ではなく、仮説を確かめ、次の改善につなげるための手段であることを実感しました。

受賞と掲載

  • 結果:SDLアプリコンテスト2019 グランプリ受賞
  • 掲載:ASCII、ロボスタ、Car Watch など
  • 学び:企画、技術検証、発表、デモ動画、スライド制作まで含めて、体験として伝える重要性を実感

10. まとめ

「優良ドライバーチェッカー」のMVP検証では、JINS-MEMEとSDLを活用し、運転中の確認行動や注意力をアプリで支援できるかを検証しました。

特に、左折時の巻き込み確認、眠気検知、脇見運転、姿勢検知、運転後の振り返りを中心に、運転診断アプリとしての可能性を探りました。

実装では、デバイス連携やCordova環境のエラーなど多くの課題がありましたが、検証を通じて、企画段階では見えなかった技術的制約や改善ポイントを把握できました。

この経験は、企画を考えるだけでなく、実装可能性を踏まえてMVPとして検証し、改善につなげる重要性を学ぶ機会になりました。

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