2017年Urban Data Challenge(UDC2017)に個人で5プランエントリー。「観光混雑回避×ゲーミフィケーション」の発想から生まれた台東区版観光アプリ『Mappy(袋のネズミ)』が1次選考を突破し、2018年2月の東京大学ファイナルに登壇。最終選考Best 8として、地域課題×オープンデータの可能性を提案しました。


Urban Data Challenge 2017
最終選考出場を終えて

地域課題 × オープンデータ × 観光アイデア

Urban Data Challenge 2017では、地域課題の解決に向けて、オープンデータや調査資料を活用したアイデア提案に挑戦しました。

私がファイナリストとして登壇したのは、「観光混雑回避×ゲーミフィケーションアプリ」の企画です。
5分間のプレゼンという限られた時間の中で、観光課題、地域回遊、混雑緩和、ゲーミフィケーション、オープンデータ活用を組み合わせた提案を行いました。

結果として入賞には届きませんでしたが、都市計画、観光アプリ、地域調査、アイデアソン、RESASでの経験を一つにまとめた、自分にとって大きな挑戦となりました。

この記事で整理していること

・Urban Data Challenge 2017へ参加した背景
・5つの応募プランと、最終選考に進んだ企画
・観光課題に取り組もうと考えた理由
・都市計画、観光、ITの経験をどう企画に活かしたか
・56枚のスライドを5分で発表した舞台裏
・入賞できなかったことへの反省と、次につながる学び


スライド

過去の発表内容を、2026年5月にTFキリンが読みやすい形へ再整理しました

スライド補足

挑戦の記録

Urban Data Challenge 2017への参加と、5つの応募プラン

Urban Data Challenge、通称UDCの存在を知ったのは、応募締切の約3か月前でした。
UDCは、地域課題に対してオープンデータや調査資料を活用し、自治体や地域関係者に向けてアイデアや解決策を提示する取り組みです。

私はこの大会を、単なるアイデアコンテストではなく、地域の課題に対して自分の経験や企画力を試す機会として捉えていました。
都市計画、観光、IT、地域活動に関するこれまでの経験を、一度まとめて形にできる場だと感じたからです。

一人で挑戦することになった応募準備

UDCの存在を知ってから、職場の仲間や友人にも共同参加を呼びかけました。
しかし、それぞれの都合もあり、結果として個人で応募することになりました。

限られた時間の中で、過去に考えていた地域課題やサービスアイデアを整理し、最終的に5つのプランでエントリーしました。

  • プログラミング教育、英語四技能の必修化に向けた指導者技能不足対策
  • 伝統工芸や工場見学をeラーニングやデジタル疑似体験で学び、オープンデータで数値比較する企画
  • 街コン×ITソリューションによる婚活マッチング支援サービス
  • 文化活動応援を目的とした、ものづくり体験の紹介コンシェルジュ
  • 観光混雑回避×ゲーミフィケーションアプリ

準備不足の中で進んだ最終選考

正直に言えば、応募時点の完成度は決して高いものではありませんでした。
年末年始に準備を進める予定でしたが、元旦の自宅PC故障、体調不良、仕事の多忙、同時期に進んでいたRESAS関連の取り組みなどが重なり、十分な準備時間を確保できませんでした。

それでも、「観光混雑回避×ゲーミフィケーションアプリ」の案は一次選考を通過し、2018年2月24日、東京大学で開催されたファイナルにて、アイデア部門のファイナリストとして登壇する機会をいただきました。

結果は入賞ならず。しかし、次につながる挑戦に

結果は、残念ながら入賞には届きませんでした。
入賞できた場合は、アライアンスやサービスリリースに向けた活動へつなげたいという想いもありました。

しかし、受賞を逃したことで、「まだまだ自分は精進しなければならない」と強く感じました。
悔しさはありましたが、地域課題に対して自分なりに向き合い、限られた時間の中で最大限の準備をした経験は、その後の企画やプロダクト設計にもつながっています。

この企画が、いずれかの地域で観光課題を考える際の参考になればという想いもあり、当時の挑戦をこの記事として残しています。

観光課題への視点

観光課題に取り組んだ理由と、地域活動への想い

今回のテーマを観光にした理由は、国内観光における地域活動やブランディングに、共通する課題を感じていたからです。
観光業や自治体の取り組みでは、広報、販促、交通、混雑、回遊、地域消費、施設連携など、複数の課題が同時に絡み合います。

そのため、一つの解決策だけで大きな成果を出すことは簡単ではありません。
観光の課題は、単体のアプリやキャンペーンだけで解決するものではなく、地域全体の体験設計として考える必要があると感じていました。

観光アプリに関わった経験から感じた課題

私は過去の仕事で、東京・台東区や沖縄県の観光アプリに関わった経験があります。
その中で感じたのは、観光施策は「一時的な話題づくり」で終わらせてはいけないということでした。

ブームを起こすこと自体も難しいですが、そのブームを長期的な地域活動へつなげることは、さらに難しい課題です。
無名の地域資源や小さな観光コンテンツを広げるには、行政、民間、地域団体、観光事業者、利用者を巻き込む仕組みが必要になります。

私の狙いは、単体提案ではなく多岐提案だった

プレゼン後、「5分の発表なら、少数のスライドやアイデアに絞ればよかったのでは」という意見もいただきました。
その指摘はもっともです。
プレゼンとしては、情報量を絞るべきだったと今でも思います。

一方で、当時の私には明確な狙いがありました。
それは、一つの特化型プランを提案するだけでなく、国内各地のどこかで観光課題を考えるヒントになるような、複数のアイデアを提示したいということです。

つまり、受賞だけを狙うプレゼンではなく、地域課題の発想材料をできるだけ多く残すことを目的にしていました。
結果として盛り込み過ぎになりましたが、当時の自分にとっては、地域課題に対する想いを最大限に詰め込んだ発表でした。

観光領域で感じていた実行の難しさ

例えば、以前から石川県を題材に、旅館の送迎バスやデイケアサービスの送迎車の空き時間を活用し、地域通貨と組み合わせて単身旅行者の満足度を高める仕組みを考えていました。

しかし、実行を考えると課題は多くありました。
自治体インフラ、山間部での通信環境、旅館側の協力、ユーザーのスマートフォン利用環境、管理システム、運用負荷、経済効果など、検討すべき要素が一気に増えていきます。

地域に貢献したい気持ちがあっても、事業として継続できなければ長続きしません。
「貢献度は高いが、収益化が難しい」という構造をどう乗り越えるか。
この悩みが、観光アイデアを考えるうえで常に大きなテーマでした。

アイデアの集大成

アイデアをオープンにすることと、都市計画・観光経験の集大成

今回の発表では、多くのアイデアをあえて詰め込む構成にしました。
その背景には、「アイデアやプロトタイプは、自分だけで抱え込むよりも、公開することで誰かの実現につながる可能性がある」という考えがありました。

2018年1月にRESAS関連の懇親会でお話しした際、「自分が実現する必要はなく、世の中に公開することで拡散スピードを高めた方が良い」という考え方に触れました。
その言葉が、今回のUDCでのプレゼン戦略にも影響しています。

アイデアを詰め込んだ理由

UDCでは、私はアイデア部門に応募していました。
本来であれば、審査に必要な内容に絞り、伝わりやすくまとめることが重要です。

しかし私は、審査員限定ではありますが、プロトタイプも提出しました。
一般公開できない事情はありましたが、単なる構想ではなく、実際に画面や体験に近い形まで考えていたことを伝えたい気持ちがありました。

この姿勢が大会の趣旨に完全に合っていたかは、今振り返ると反省もあります。
ただ、当時の私は「地域課題に対するアイデアを、少しでも次につなげたい」という思いで取り組んでいました。

都市計画・観光・ITの経験を一つにまとめる

この発表内容は、自分にとって都市計画と観光に関するプランの集大成でもありました。
大学時代の都市計画ゼミ、観光アプリの仕事、国内を歩きながら見てきた地域課題、アイデアソンやRESASでの学びなど、これまでの経験を一つの企画へまとめる意識がありました。

  1. 大学時代は都市計画ゼミに所属
    阪神大震災の復興調査、大阪・豊中市の商店街再開発、阪急電車の駅開発などを研究しました。
  2. 元職場で台東区のARアプリ改修を担当
    地域観光とデジタル体験の接点を考えるきっかけになりました。
  3. 元職場で沖縄の自治体アプリ改修を担当
    自治体アプリの運用や観光施策の難しさを学びました。
  4. 国内バックパッカーとして地域課題を観察
    石川県加賀市や沖縄県を題材に、観光インフラの活性化を考えました。
  5. 台東区アイデアソンで地域課題を学習
    昼と夜の混雑差、観光地の回遊性、地域消費の課題を考える機会になりました。
  6. RESAS発表での反省をUDCに反映
    京都の歩行者混雑、バス、レンタサイクル、空き家対策などの学びを企画に取り込みました。

企画を通じて伝えたかったこと

私が伝えたかったのは、観光課題は一つのアプリ機能だけで解決できるものではないということです。
交通、回遊、混雑、地域消費、文化体験、情報発信、地域事業者との連携を組み合わせて、はじめて体験全体の価値が高まります。

その意味で、この企画は単なる観光アプリ案ではなく、地域全体の体験設計をどう作るかという挑戦でした。

現地調査と舞台裏

UDC舞台裏。多忙な中で進めた現地調査と資料作成

2018年2月は、仕事の負荷が非常に高い時期でした。
毎日23時を超えて帰宅するような状況の中で、深夜にプレゼン資料を作成していました。

最終的にスライドは56枚にまで増えました。
5分のプレゼンとしては明らかに多すぎます。
それでも、伝えたいこと、見せたい視点、地域課題に対する考えを削りきれず、かなり情報量の多い資料になりました。

56枚のスライドを5分で話す挑戦

今振り返ると、最初に「56枚のスライドを5分で話し切る挑戦をします」と宣言してしまえば、演出として成立した可能性もあったかもしれません。
しかし当時は、そのような見せ方まで設計できていませんでした。

結果として、発表はかなり慌ただしいものになりました。
プレゼンの基本として、情報量を絞ることが重要であることは理解していました。
それでも、当時は「短い時間にできるだけ多くの地域課題のヒントを残したい」という気持ちが勝っていました。

多忙な中でも現地調査は実施

発表準備の中でも、現地調査はできる限り行いました。
台東区は、普段から散策していた地域であり、元職場があった場所でもありました。
そのため、応募前から観光課題のイメージを持ちやすい題材でした。

仕事を早退し、夜19時の台東区を約2時間で4拠点まわり、現地調査と撮影を行いました。
さらに日曜日にも同様の調査を実施し、昼と夜の様子を比較しました。

昼夜の混雑差を、実体験として伝えたかった

現地調査を行った理由は、観光地の混雑や回遊の課題を、自分の言葉で説明できるようにするためです。
資料上のデータだけでなく、実際に歩いて見た景色、時間帯による人の流れ、観光客の動き、店舗周辺の空気感を踏まえて話したいと考えていました。

プレゼン直後の質問タイムで、この昼夜の混雑差を実体験として伝えられると思っていました。
しかし、後になって質問タイムがないことを理解しました。
ここも、事前確認や発表設計が不足していた点として反省しています。

反省と学び

プレゼン総括。入賞できなかった理由と、次につながる学び

今回のプレゼンは、5分で56枚のスライドをめくり続ける高速プレゼンになりました。
終わった直後は、5分ぴったりで話し切ったことに少し達成感もありました。
しかし、冷静に振り返ると、審査員や聞き手にとっては情報量が多すぎた可能性があります。

挑戦としては面白いが、伝達設計としては改善余地があった

プレゼンとしての反省点は、冒頭で聞き手の期待値を設計できていなかったことです。
例えば、「56という数字は何を意味するでしょうか」「5分で56枚を見せる高速プレゼンに挑戦します」と最初に伝えていれば、聞き手もプレゼンの見方を変えられたかもしれません。

また、発表用のスライドは20枚程度に絞り、審査用の補足資料として56枚版を提出する方法もありました。
その方が、伝わりやすさと情報量の両方を確保できた可能性があります。

悔しさよりも、次へ進むための整理

入賞できなかったことは残念でした。
しかし、落ち込んでいても仕方ありません。

今回の挑戦を通じて、自分が地方創生や観光課題に対してどのような想いを持っているのか、何を伝えたかったのか、どこでミスマッチが起きたのかを考えるきっかけになりました。

自分の想いが誤解されたり、大会の評価軸と噛み合わなかったのであれば、次回以降は伝え方を改善する必要があります。
アイデアの量だけでなく、聞き手に届く構成、審査基準に合った見せ方、実現可能性の整理が重要だと学びました。

この経験が、その後の企画・UI設計につながっている

UDCでの挑戦は、結果だけを見れば入賞ならずという形で終わりました。
しかし、自分にとっては、地域課題を構造化し、サービスアイデアに落とし込み、短時間で伝える難しさを学んだ貴重な経験です。

観光、地域回遊、オープンデータ、ゲーミフィケーション、現地調査、プロトタイプ、プレゼン設計。
これらを一つの企画にまとめようとした経験は、その後のUI/UX設計やプロダクト企画にも活きています。

この挑戦は、成功事例ではなく、悔しさを含んだ実践記録です。
だからこそ、自分がどのように考え、どこでつまずき、次に何を改善しようとしたのかを残しておきたいと思います。

目次