概要
制作概要
100均アイテムにUVプリントして、オリジナルグッズ制作を試した実験記録
この記事では、レーザーカッターやUVプリンタなどが使える工房で、初心者ながらさまざまな素材にUV印刷を試した制作記録を紹介します。
今回のテーマは、「100均で購入した商品に、どこまでオリジナル印刷できるのか?」です。
スマホケース、PCタブレット用ケース、マウスパッド、クリアファイルケース、犬用のコスプレ服など、身近に手に入る商品を使い、UVプリンタで印刷実験を行いました。
UVプリンタは、紙だけでなく、アクリル、ガラス、革、プラスチック、繊維、スマートフォンケースなど、さまざまな素材に印刷できる機器です。
一方で、実際に使ってみると、素材によってインクの乗り方、発色、耐久性、位置合わせの難しさが大きく変わることがわかりました。
白い素材は比較的印刷しやすい一方で、色付き素材では下地にホワイト処理が必要になる場合があります。
また、柔らかい素材や布素材では、印刷後に剥がれやすかったり、重ね刷りのたびに位置がずれたりする難しさもありました。
今回の記事では、成功例だけでなく、失敗や試行錯誤も含めて、UVプリントの面白さと難しさを整理しています。
司会パンダ この記事で整理していること
- TechShopでの制作体験
- UVプリンタの仕組みと特徴
- UV印刷のメリットとデメリット
- 100均アイテムへの印刷実験
- スマホケースへのUV印刷
- PCタブレット用ケースへの表裏印刷
- マウスパッド・クリアファイルケースへの印刷
- 犬用コスプレ服への布印刷
- 素材ごとのインクの乗り方・耐久性の違い
- UVプリントでオリジナルグッズを作る際の学び
今回の制作で大切にした視点
今回の制作は、完成度の高い商品を最初から作るというよりも、素材ごとの相性を調べる実験に近いものでした。
同じプラスチックでも、表面加工や硬さによってインクの定着が変わります。
布素材では、印刷の濃さや位置合わせが難しくなります。
グロス処理やニスを使った保護も、素材やインクとの相性によっては、逆に剥がれや浮きにつながることがあります。
実際に手を動かし、失敗を繰り返してみることで、UVプリントの可能性と難しさを学ぶことができました。
01. 前談:TechShopでの制作体験
制作環境
レーザーカッターやUVプリンタを使える工房で、短期間に多くの作品を制作
レーザーカッターやUVプリント等が可能な工房=“TechShop”

当時、レーザーカッターやUVプリンタなどが使える工房であるTechShopに、約2週間ほどお世話になりました。
私は専門的な加工機器に慣れていたわけではなく、初心者として利用しました。
それでも、短期間ながらレーザーカッター、UVプリンタ、素材加工などを試しながら、数多くの作品を制作することができました。
今回の記事では、その中でも「100均で購入した商品へのUV印刷」に絞って紹介します。
100均アイテムを使った理由
100均で購入した商品を使った理由は、実験しやすかったからです。
UVプリンタは、素材との相性を実際に試してみないとわからない部分があります。
高価な素材をいきなり使うと、失敗したときのダメージが大きくなります。
その点、100均アイテムであれば、スマホケース、ファイルケース、マウスパッド、布製品などを気軽に試せます。
試作やプロトタイプ制作では、まず安価な素材で検証し、印刷の乗り方や耐久性を確認することが大切だと感じました。
司会パンダ 02. UVプリンタとは何か
基礎知識
紫外線でインクを硬化させ、さまざまな素材へ印刷できるプリンタ
UVプリンタって何だ?
UVプリンタとは、UV、つまり紫外線を照射する装置が付いたプリンタです。
印刷した直後に紫外線を照射し、インクを瞬時に硬化させることで、紙以外のさまざまな素材にも印刷できます。
一般的なプリンタは紙への印刷が中心ですが、UVプリンタはスマートフォンケース、アクリル、ガラス、革、ソフトケース、PCキーボード、繊維素材など、立体物や特殊素材にも印刷できる点が特徴です。
UVプリントのメリット
UVプリンタの大きなメリットは、好きなデザインを使って、唯一無二のオリジナル製品やプロトタイプを作れることです。
たとえば、以下のような用途が考えられます。
- オリジナルスマホケースの制作
- アクリルグッズの試作
- ノベルティグッズの制作
- 商品パッケージの試作
- キーボードや小物への名入れ
- ペット写真を使ったグッズ制作
- イベント用の限定アイテム制作
UVプリントのデメリット
一方で、UVプリンタには苦手なこともあります。
- 曲面や凸凹など、歪な形状の素材には印刷しづらい
- 柔らかい素材や伸びる素材では、印刷後の耐久性が悪くなる場合がある
- 印刷物を機器に正確にセットする必要がある
- 印刷時間が長く、1品あたり20〜40分ほどかかる場合がある
- 素材によってはインクが乗りにくく、下地処理が必要になる
- グロス処理やニス処理が、逆に剥がれや浮きにつながる場合がある
素材との相性がとても重要
UVプリントでは、「印刷できる」ことと「きれいに長持ちする」ことは別だと感じました。
表面がツルツルしている素材、柔らかく曲がる素材、色の濃い素材、凹凸のある素材では、印刷結果が変わります。
そのため、実際に商品化を考える場合は、事前に複数回のテスト印刷を行い、耐久性や色の乗り方を確認する必要があります。
司会パンダ 03. 作品1:スマホケースにUV印刷
作品01
素材・下地・コーティングの違いで、印刷品質が大きく変わる
スマホケースへのUV印刷は、もっとも試しやすく、オリジナルグッズとしてもわかりやすい題材でした。
一方で、実際に試してみると、ケース素材によって印刷の乗り方や耐久性に違いが出ることがわかりました。
スマホケースといっても、硬いプラスチック、柔らかいソフトケース、表面加工されたもの、色付きのもの、透明のものなど、素材はさまざまです。
白以外のケースでは下地処理が必要になる
白以外のスマホケースでは、色ノリが悪くなることがあります。
特に濃い色のケースに直接印刷すると、デザインの色が沈んで見える場合があります。
そのため、下地にホワイト処理を行い、その上からカラー印刷する必要がありました。
白インクを使うことで、デザイン本来の色を再現しやすくなります。
グロス処理やニス処理の難しさ
印刷後にコーティングするグロス処理にも挑戦しました。
しかし、斜線などの模様をグロス処理で表現すると、時間経過とともに剥がれてくる場合がありました。
また、自前のアクリル用ニスを手作業で塗布すると、逆にインクを溶かしてしまったり、塗装が浮いて剥がれてきたりすることもありました。
失敗を繰り返しながら、素材とインク、コーティング剤の相性を試行錯誤しました。
スマホケース印刷で学んだこと
- 同じプラスチックでも、素材によって塗装耐久性が変わる
- 白以外の素材では、下地のホワイト処理が重要になる
- グロス処理やニス処理は、素材との相性確認が必要
- ペット写真を印刷すると、オリジナルグッズとして可愛い
- 商品化するなら、擦れや曲げへの耐久テストが必要
司会パンダ 04. 作品2:PCタブレット用ケース
作品02
大きめのケースに表裏印刷し、オリジナル感のある実用品にする
PCタブレット用ケースにもUV印刷を試しました。
スマホケースよりも面積が広いため、デザインの見せ方に余裕があります。
表面と裏面の両方に印刷することで、よりオリジナル感のあるグッズになります。

大きい素材ならではの注意点
大きい素材に印刷する場合、印刷位置の調整が重要になります。
少しズレただけでも、全体のバランスが崩れて見えることがあります。
また、素材を機器にセットする際に、水平が取れていないと印刷ムラや位置ズレが起こります。
表裏印刷で考えること
表裏に印刷する場合は、片面ずつのデザインだけでなく、閉じたとき、持ったとき、置いたときの見え方も考える必要があります。
実用品として使うものなので、印刷が擦れやすい場所、手で触れる場所、折れ曲がる場所も確認しておく必要があります。
PCケース印刷で学んだこと
- 大きい素材ほど位置合わせが重要になる
- 表裏印刷では、全体の見え方を設計する必要がある
- 手で触れる部分は、印刷の耐久性確認が必要
- 実用品への印刷は、見た目だけでなく使用時の摩耗も考える必要がある
05. 作品3:マウスパッド
作品03
日常的に使う小物ほど、印刷の耐久性が重要になる
マウスパッドにもUV印刷を試しました。
マウスパッドは、日常的に手やマウスが触れる実用品です。
そのため、印刷できるかどうかだけでなく、使い続けたときに剥がれにくいか、擦れに強いかが重要になります。

マウスパッド印刷で意識したこと
マウスパッドは、平面なので印刷しやすそうに見えます。
しかし、表面素材によってはインクの乗り方が変わります。
また、マウスを繰り返し動かすため、印刷面に摩耗が発生しやすいアイテムです。
実用品としての耐久性
飾っておくだけの作品であれば、印刷直後の見た目がきれいであれば十分な場合もあります。
しかし、マウスパッドのような実用品では、長く使ったときの耐久性が重要です。
UV印刷した表面が、マウス操作で削れたり、手汗や摩擦で劣化したりしないかを確認する必要があります。
マウスパッド印刷で学んだこと
- 平面素材でも、表面加工によって印刷結果が変わる
- 手や道具が触れる実用品は、耐久性確認が必要
- ノベルティとしては相性が良いが、摩耗テストが重要
- デザイン面では、全面印刷とワンポイント印刷の使い分けができる
06. 作品4:クリアファイルケース
作品04
透明・半透明素材への印刷は、色の見え方と下地処理がポイント
クリアファイルケースにもUV印刷を試しました。
透明や半透明の素材は、印刷したデザインの見え方が独特です。
背景が透けるため、白い紙の上で見る場合と、机の上で見る場合、物を入れた状態で見る場合で印象が変わります。

透明素材で難しいこと
透明素材では、印刷色が薄く見えることがあります。
特に淡い色や細い線は、背景に影響されやすく、見えにくくなる場合があります。
そのため、必要に応じて白インクを下地として入れることで、色をはっきり見せる工夫が必要です。
中に入れるものまで考える
クリアファイルケースは、中に紙や資料を入れて使うものです。
そのため、印刷デザインだけでなく、中に入るものとの重なりも考える必要があります。
背景が白い紙なら見やすいデザインでも、色付きの資料を入れると見え方が変わる場合があります。
クリア素材印刷で学んだこと
- 透明素材は、背景によって印刷の見え方が変わる
- 白インクの下地処理があると、色がはっきりしやすい
- 中に入れるものとの重なりを考える必要がある
- 透明感を活かすデザインにすると、素材の魅力が出やすい
07. 作品5:犬用のコスプレ服
布素材への印刷は、濃度・位置合わせ・再印刷のズレが難しい
犬用のコスプレ服にもUV印刷を試しました。
この実験では、繊維素材にUVプリンタでどこまで印刷できるのかを確認しました。
布への印刷は、プラスチックやアクリルなどの硬い素材とは異なり、柔らかさや伸縮性があります。
そのため、印刷後の耐久性や位置合わせが大きな課題になります。
白色素材でも印刷が薄くなる場合がある
白色の布地であれば印刷しやすいと思っていましたが、実際には印刷が薄く見えることがありました。
そこで、同じ場所に3回印刷して濃度を高める実験をしました。
ただし、3回印刷するだけでも作業時間は40分ほどかかります。
センタリングの難しさ
布素材では、中心合わせが難しいと感じました。
1回目の印刷では位置が合っていても、再印刷を繰り返すうちに、少しずつ配置がズレることがあります。
素材が柔らかいため、機器にセットする時点で微妙に動いたり、伸びたりすることが原因だと考えられます。
布印刷で学んだこと
- 布素材は、硬い素材より位置合わせが難しい
- 同じ場所に重ね刷りすると、濃度は上がるがズレやすくなる
- 印刷時間が長くなりやすい
- 柔らかい素材では、洗濯や摩擦への耐久性確認が必要
- 試作品としては面白いが、商品化には専用の印刷方法も検討すべき
司会パンダ 08. UVプリントで学んだこと
制作の学び
印刷できる素材が多いからこそ、素材ごとの検証が欠かせない
今回のUVプリント実験を通じて、もっとも大きな学びは、素材ごとの違いです。
UVプリンタは、さまざまな素材に印刷できる魅力的な機器です。
しかし、どの素材でも同じようにきれいに仕上がるわけではありません。
プラスチック、透明素材、布、柔らかいケース、硬いケースでは、印刷の乗り方も耐久性も変わります。
今回の実験で見えたポイント
- 白い素材は比較的印刷しやすい
- 色付き素材には、ホワイト下地が必要になる場合がある
- 柔らかい素材は、印刷後に剥がれやすい場合がある
- 透明素材は、背景によって見え方が変わる
- 布素材は、位置合わせと濃度調整が難しい
- グロス処理やニス処理は、素材によって相性がある
- 1品ごとの印刷時間が長く、量産には工夫が必要
プロトタイプ制作に向いている理由
UVプリントは、プロトタイプ制作にとても向いていると感じました。
理由は、完成イメージを実物で確認できるからです。
スマホケース、ファイル、ノベルティ、アクリルグッズなどは、画面上のデザインだけでは実際の印象がわかりにくい場合があります。
UVプリンタで試作すれば、サイズ感、素材感、色の見え方、使ったときの印象を確認できます。
商品化するなら必要な検証
一方で、商品化を考えるなら、印刷直後の見た目だけでは不十分です。
以下のような検証が必要になります。
- 擦れへの耐久性
- 曲げへの耐久性
- 水や汗への耐性
- 洗濯できるかどうか
- 日光による色あせ
- コーティング剤との相性
- 量産時の時間とコスト
司会パンダ 09. まとめ
まとめ
100均アイテムでも、UVプリントでオリジナルグッズ制作の可能性が広がる
今回の制作では、TechShopでUVプリンタを使い、100均で購入したさまざまな商品へ印刷を試しました。
スマホケース、PCタブレット用ケース、マウスパッド、クリアファイルケース、犬用のコスプレ服など、身近な素材でも、UVプリントによってオリジナルグッズに変えることができます。
一方で、実際に試してみると、素材ごとに印刷の難しさがありました。
同じプラスチックでも、素材や表面加工によって耐久性が変わります。
色付き素材では、ホワイト下地が必要になる場合があります。
布素材では、重ね刷りや位置合わせが難しくなります。
コーティングも、素材との相性によっては剥がれや浮きにつながることがあります。
この制作で得た学び
- UVプリンタは、紙以外のさまざまな素材に印刷できる
- 100均アイテムは、素材検証や試作に向いている
- 白以外の素材では、下地のホワイト処理が重要になる
- 柔らかい素材や布素材は、位置合わせや耐久性に注意が必要
- グロス処理やニス処理は、必ず相性確認が必要
- プロトタイプ制作では、実物で確認できることが大きな価値になる
- 商品化するなら、摩耗・水・曲げ・洗濯などの耐久テストが必要
UVプリントは、アイデアをすぐに形にできる楽しい制作方法です。
ただし、きれいに印刷できたから完成ではありません。
使う素材、使う場面、触れる頻度、保管方法まで考えることで、より完成度の高いオリジナルグッズに近づきます。
今回の実験は、初心者として失敗を重ねながら、素材と印刷の相性を学ぶ良い機会になりました。
司会パンダ








