概要
小学5年生を対象にした、ICT講師時代の共創型プロジェクト
この記事では、私が非常勤ICT講師として関わっていた時期に、小学5年生を対象として企画した「小学生versionの共創!アイデアソン」について紹介します。
もともとは、クラスソングを作り、カラオケのPV風に映像作品として仕上げる企画を考えていました。
生徒が自分たちで作詞・作曲を考え、演奏、脚本、撮影、イラスト、CDラベル制作まで関わることで、パソコンを「勉強の道具」だけでなく、自分たちの表現を形にする道具として体験してもらうことが狙いでした。
しかし、担任教師から生徒へ説明する過程で、テーマは「クラスソング」から「CM制作」へと発展しました。
結果として、生徒たちは台詞や演出を自分たちで考え、学年全体を巻き込んだ大きなプロジェクトになりました。
司会パンダ この記事で整理していること
- ICT講師時代に企画した小学生向け共創プロジェクト
- クラスソング制作からCM制作へ発展した経緯
- 作詞・作曲・演奏・脚本・撮影・CD制作を含めた全員参加型の授業設計
- 生徒との信頼関係づくりと、学年全体プロジェクトへの展開
- 生徒が自分たちの作品に愛着を持った理由
- 不登校の生徒を作品に参画させるための工夫
- 教育委員会や他校教師が視察した発表会での質疑応答
- パソコンへの苦手意識を減らすためのICT教育の考え方
この企画で大切にした視点
この企画で大切にしたのは、パソコンを「正解を入力する道具」として教えるのではなく、自分たちのアイデアや感情を形にできる創作道具として体験してもらうことでした。
写真加工、音楽制作、動画編集、イラスト制作、文章作成、ホームページ制作など、パソコンには多くのクリエイティブな可能性があります。
子どもたちがその可能性を知ることで、将来の夢や得意分野が広がるかもしれません。
ICT教育の目的は、単に操作方法を覚えることだけではありません。
「パソコンって面白い」「自分たちでも作品が作れる」「仲間と協力すれば、ひとつの作品になる」。そう感じてもらうことが、このプロジェクトの大きな狙いでした。
01. 企画のはじまり
私が企画した「小学生versionの共創!アイデアソン」
小学5年生を対象にしたICT講師時代の成功プロジェクト
このプロジェクトは、私が非常勤ICT講師として関わっていた時期に、小学5年生を対象として企画したものです。
当時、私は生徒たちに対して、パソコンを単なる授業道具としてではなく、創作や表現の道具として体験してほしいと考えていました。
そこで、カラオケのPVのように、作詞・作曲・演奏・映像制作を組み合わせた作品づくりができないかと考えました。
この企画を成功させるための下準備
教師の方に、私が温めていた企画を夏休みに相談したことが始まりでした。
教師「2学期からやりましょう!」
と、すぐに賛同いただきました。
当初、私は1クラスのみで実験的に実行するつもりでした。
教師「平等であるため、5年生全3クラスで実現しましょう!」
こうして、最初は小さく試すつもりだった企画が、学年全体を巻き込むプロジェクトへと広がっていきました。
企画の基本方針
この企画では、生徒たちが単に先生から与えられた課題をこなすのではなく、自分たちで考え、役割を持ち、作品を完成させることを大切にしました。
- 歌詞を考える生徒
- 曲を考える生徒
- 演奏する生徒
- 脚本を考える生徒
- カメラマン役の生徒
- 出演する生徒
- CDラベルをパソコンで作る生徒
このように、得意・不得意に関わらず、全員がどこかで関われる設計にすることを意識しました。
02. CM企画への発展
担任教師の説明をきっかけに、クラスソングからCM制作へ広がった
担任教師が生徒へ説明した後
企画を進める中で、担任教師が生徒へ説明した際に、少し方向性が変わりました。
教師「生徒に説明する際に、クラスソングでなくCMを考えなさいと伝えたんですけど…」
教師「結構、台詞とか考えて、生徒が盛り上がり始めています…」
教師「1人だけ手伝いOKですが、他の教師はITが苦手だから難しいです」[/speech_balloon_left1]
こうして、当初のクラスソング制作から、CM制作も含む学年単位の大型プロジェクトへと発展していきました。
想定外だったが、良い方向に広がった
正直に言うと、CM作品が増えることは、編集作業の負担としてはかなり大きなものでした。
撮影、素材整理、動画編集、音声確認、CD容量の調整、複製作業など、授業時間外での作業も多く発生しました。
しかし、生徒たちが自分たちで台詞や演出を考え、盛り上がり始めている姿を見ると、この方向性の変化は悪いものではないと感じました。
むしろ、テーマが自由になったことで、クラスごとの個性や生徒の発想がより表れました。
当時iPadがあれば、さらに授業化できた可能性
この当時、もしiPadなどのタブレット環境が十分にあれば、生徒たち自身に編集作業まで体験してもらえたと思います。
当時は私側で動画撮影と編集作業を引き受けましたが、今なら児童が撮影・編集・発表まで行う授業設計も可能だと思います。
動画編集は、情報整理、構成力、表現力、チームワークを学べる題材です。ICT教育としても非常に相性が良い活動だと感じています。
03. プロジェクトを終えて
生徒の喜ぶ姿から「やって良かった」と感じた成功事例
非常勤ICT講師という立場ではありましたが、生徒との距離を縮めるために、サッカーや給食など、生徒たちと触れ合う機会を多く持っていました。
同じ目線で接することで、生徒たちがパソコン室に来やすくなり、授業外でも話しかけてくれるようになりました。
CMやCD編集作業は大変でした。
しかし、撮影映像の中で生徒が楽しそうに演じている姿や、試写会で喜んでいる姿を見ると、「やって良かったなぁ」と強く感じました。
試写会で感じた達成感
試写会の際には、ある生徒が泣いて喜んでくれたこともありました。
また、休憩時間になると、パソコン室にいる私を訪ねてきてくれる生徒もいました。
そうした姿を見ると、この企画は単なるICT授業ではなく、生徒にとって思い出に残る体験になったのだと思います。
10年経っても残る思い出
このプロジェクトから約10年が経過しています。
それでも、当時の生徒たちとのつながりや、作品を一緒に作った感覚は、今でも思い出深く残っています。
ICT講師として関わった時間の中でも、特に大きな成功事例だったと感じています。
司会パンダ 04. 個人のクリエイトではなく「協創」の成功事例
生徒が自分たちで考えたからこそ、作品への愛着が生まれた
プロジェクトを終えた時、教師側の計らいもあり、生徒全員に感想文を書いていただきました。
その感想文の一部は、CDの中にも収めました。
この感想文があることで、単なる映像作品ではなく、授業としての振り返りも成立したと思います。
学級会から始まるグループワーク
生徒たちは、自ら学級会で歌詞を考案し、歌の練習や演技の練習をしたようです。
このプロセスがとても重要だったと思います。
先生や私が一方的に決めた作品ではなく、生徒たちが話し合い、役割を分け、練習し、完成させた作品だからこそ、思い出や作品愛につながりました。
生徒「他のクラス作品よりも、自分たちの作品が一番面白い!一番好き!」
思い返すと、子どもたちの表情はドヤ顔で、発言も自画自賛でした。笑。
でも、それは本当に良いことだと思います。
自分たちで作った作品を誇れることは、学びとしてとても大切です。
協創プロジェクトとしての価値
この企画は、私個人のクリエイトではありません。
生徒、教師、ICT講師が一緒に作った「協創」のプロジェクトです。
- 生徒がアイデアを出す
- クラスで話し合う
- 役割を分担する
- 練習する
- 撮影する
- 完成作品を観る
- 感想文で振り返る
この一連の流れがあったからこそ、単なるパソコン授業ではなく、思い出に残る学習体験になったのだと思います。
05. 不登校の生徒の参画へのこだわり
学校に来られない生徒も、作品に参加できる方法を考える
この企画の際に、1人の不登校の生徒がいました。
いじめが理由ではなかったようですが、なかなか学校に来られないということで、その生徒を作品に入れる機会をどうするか、担任教師から相談を受けました。
教師「やってみますね」
参加できる形を探す
担任教師の方は、数回、保護者と生徒にお願いしてくれました。
結果として、全体の撮影日に来てもらうことはできませんでした。
それでも、作品の中にその生徒が登場する部分をクラスメイトが考え、撮影しに行き、作品に収めることができました。
この経験で大切にしたこと
不登校の生徒を無理に参加させることが正解とは限りません。
ただ、本人が完全に外れてしまうのではなく、何らかの形で作品の中に存在できる方法を探すことは大切だと思いました。
このプロジェクトは、全員参加を目指した企画です。
だからこそ、学校に来ている生徒だけでなく、来られない生徒も含めて、どう関われるかを考えたかったのです。
ICTだからできる参加の形
ICTや映像制作には、教室にいない人も参加できる可能性があります。
写真、動画、音声、手紙、イラスト、メッセージなど、さまざまな形で作品に関われます。
この経験は、ICT教育における「参加の形」を考えるきっかけにもなりました。
06. 感動体験とICT教育
初めての感動体験が、得意・苦手の分岐点になる
学生時代の感動体験が夢や人格を形成する
楽しく、興味を持つきっかけがあれば、新たな発見があります。
時には、その体験が自分の成長につながり、周囲の人にも感動を与えることがあります。
パソコンへの苦手意識を持たせない
私自身、英語に苦手意識が抜けず、大学受験や大人になってからも人生で損をしていると感じたことがあります。
同じように、パソコンが苦手なまま大人になると、就職後にWordやExcelを触るのも嫌だと感じてしまうかもしれません。
生徒の将来を考えると、パソコンへの苦手意識を持たないようにすることは重要だと思いました。
パソコンのクリエイティブ要素を授業で示す
パソコンのクリエイティブ要素を授業で示すことが、この企画のコンセプトでした。
- 写真加工
- 音楽作曲
- ビデオ編集
- イラスト編集
- 文章作成
- ホームページ作成
生徒がパソコンに親しみを覚え、少しずつ勉強していくきっかけづくりを目指しました。
クリエイトできる遊び心が発展していけば、生徒たちの将来の夢が、CMプロデューサー、お笑い芸人、作曲家、ダンサーなどへ広がるかもしれません。
ICT教育で本当に伝えたかったこと
操作方法だけを教える授業では、パソコンは退屈なものになりやすいと思います。
しかし、自分たちの映像が形になり、CDとして残り、みんなで上映できるとなれば、パソコンは表現の道具になります。
この体験を通じて、生徒たちに「自分にも作れる」という感覚を持ってほしいと考えていました。
07. 発表会と質疑応答
教育委員会や他校教師も視察に来場した全体発表会
全体発表会には、教育委員会や他校の教師も視察に来場しました。
その際、私への質疑応答の議事録が残っていたため、一部を抜粋して整理します。
良い作品を作る秘訣について
教師「良い作品を作る秘訣は?どうしたら面白いでしょうか?」
教師「テーマを絞った方が良いでしょうか?」
当初のテーマから変化したことで、作品の方向性は広がりました。
統一感を持たせるよりも、生徒たちの自由な発想を活かしたことが、結果的に面白さにつながったと思います。
なぜ5年生で実施したのか
教師「卒業アルバムの要素があるから、6年生でもやるべきだったのでは?」
学年や教材の適性だけでなく、生徒との関係性もプロジェクト成功の大きな要素でした。
他校で実行するなら
教育委員会「他校でも実行するならば、どう考えますか?」
年齢が上がれば、単なる作品制作だけでなく、誰に向けて作るのか、どう伝えるのかというマーケティング視点も学べます。
企画コンセプトについて
教育委員会「TFきりんさんのコンセプト、狙いは何だったのですか?」
このプロジェクトの根底には、パソコンを嫌いにさせない、苦手意識を持たせないという狙いがありました。
08. 作品紹介
生徒作品:CM編
生徒が考案した「CM編」
編集クオリティーは無視して、作品の内容にご注目ください
全30作品のうち、抜粋して紹介していた作品です。
兵庫県ITコンクールBEST8作品(応募数:約1000件)
生徒たちが自分たちで考えたCM作品の中には、兵庫県ITコンクールでBEST8に入った作品もありました。
単に映像を撮影するだけでなく、何を伝えるのか、どのように見せるのかを生徒自身が考えたことが、この企画の大きな価値だったと思います。
大王と大魔王
物語性やキャラクター性を持たせた作品もありました。
生徒たちが台詞や演出を考えながら、クラスメイトと協力して作り上げた点に、グループワークとしての学びがありました。
生徒作品:クラスソング編
生徒が考案した「クラスソング編」
生徒が作詞・作曲・演奏
クラスソング編では、生徒たちが作詞・作曲・演奏に関わりました。
自分たちの言葉で歌詞を考え、自分たちのクラスらしさを曲に込めることで、作品への愛着が生まれました。
音楽、映像、ICTを組み合わせることで、授業の枠を超えた思い出づくりにつながったと感じています。
TFきりん企画CM編
TFきりんが考案した「企画CM編」
明日への扉
未来や成長をテーマにした企画CMです。
中国編
異文化や地域性をテーマにした企画CMです。
モーニング娘編
当時の流行や親しみやすい題材を取り入れた企画CMです。
踊る大捜査編
ドラマや映画のような演出を意識した企画CMです。
昆陽里2:50
学校や地域の雰囲気を活かした企画CMです。
ヤングマン編
楽しく身体を動かすような、明るい雰囲気の企画CMです。
猪木入場編
勢いやインパクトを大切にした企画CMです。










