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docomoゼミWebアプリラボ

インド式かけ算アプリ
最優秀賞を受賞したWebアプリ企画
教育アプリ × 暗算トレーニング × UI設計 × 短期開発

『docomoゼミWebアプリラボ』にて、共同開発したペンギンさんと制作した「インド式かけ算アプリ」で応募し、最優秀賞を受賞しました。
このアプリは、2ケタのかけ算をテーマにした教育系Webアプリです。
元高校の数学教師であるペンギンさんが考えた計算ロジックをもとに、私はプランナー・UI設計の立場から、子どもでも遊びながら理解しやすい体験へ落とし込むことを担当しました。
ただ計算式を見せるだけではなく、基礎コース、採点、通信簿、ボーナス点、プレイ時間の調整などを設計し、「難しそうなインド式算数」を、短時間で挑戦したくなる学習アプリとして再構成したことが特徴です。
この記事で整理していること
・『docomoゼミWebアプリラボ』で最優秀賞を受賞した記録
・インド式かけ算アプリを作ることになった背景
・元高校数学教師ペンギンさんとの共同開発エピソード
・子どもに伝わるように設計したUI/UXの工夫
・採点、通信簿、時間設定などのゲーム設計
・5日間でWebアプリ版を制作した短期開発の裏側
・後日公開したiPhone版でのデザイン改善
前談

このアプリは、「子どもに役立つ教育アプリを作りたい」という会話から始まりました。
共同開発者のAさんは、元高校の数学教師で、当時60歳のエンジニアでした。
ある日、Aさんから「2ケタのかけ算を簡単に解ける、新しい公式を思いついた」と相談を受けました。
私は理系出身ではありましたが、最初はその計算ロジックをすぐには理解できませんでした。
しかし、話を聞くうちに、以前コンビニで立ち読みした「インド式算数」に近い考え方だと気づきました。
ただし、ここで課題になったのは、「計算ロジックとして面白いこと」と「子どもが楽しく理解できること」は別だという点です。
そこで私は、計算そのものよりも、子どもが遊びながら自然に取り組める体験設計に注力しました。
01. docomoゼミWebアプリラボで最優秀賞を受賞
受賞概要
インド式かけ算アプリで、最優秀賞を受賞
『docomoゼミWebアプリラボ』にて、「インド式かけ算アプリ」で応募し、共同開発したペンギンさんと共に最優秀賞を受賞しました。
このアプリは、2ケタのかけ算を題材にした学習アプリです。
一般的な計算ドリルのように、ただ問題を解いて正誤判定をするのではなく、途中計算、暗算、回答スピード、理解度の評価などを組み合わせ、楽しく反復練習できる体験を目指しました。
受賞につながったポイント

単に「インド式算数をアプリ化した」だけではなく、子どもが使うことを前提に、難しい計算ルールをいかにシンプルに感じてもらうかを重視しました。
特に意識したのは、以下の点です。
- 2ケタのかけ算を、段階的に学べる構成にしたこと
- 不正解を減点ではなく、見直しと再挑戦の機会として扱ったこと
- 短時間で遊べるように、問題数やプレイ時間を調整したこと
- 結果を通信簿のように表示し、次の挑戦につなげたこと
- 暗算や速答にボーナスを設け、ゲーム感覚で上達を促したこと
教育アプリでは、正しい知識を伝えることだけでなく、ユーザーが「もう一度やってみたい」と思える体験が大切です。
このアプリでは、学習とゲーム性のバランスを意識しながら設計しました。
02. コンテスト応募前の経緯
開発のきっかけ
元数学教師ペンギンさんとの会話から始まった教育アプリ
インド式かけ算をテーマにしたきっかけは、元高校の数学教師であるペンギンさんとの会話でした。
ペンギンさんとは、「子どもに役立つ教育アプリを作りたい」という話をしていました。
その中で、ペンギンさんから提案されたのが「2ケタのかけ算」を題材にしたアプリです。
ペンギンさんは、元数学教師らしく、計算の仕組みや公式に対して強い関心を持っていました。
あるとき、ペンギンさんから「TFきりんさん、新しい公式を思いついたんです」と相談を受けました。
元数学教師らしい発想だと感じました。
「TFきりんさん!新しい公式を思いついたんです!」と言われたものの、理系出身の私でも、はじめはすぐに理解できませんでした。
※ペンギンさんは独自でかけ算公式を生み出したと思っていたため、既存のインド式算数に近い考え方があることに驚かれていました。
私は、ユーザー目線での不安を感じたところから、この企画に向き合い始めました。
予告CMも応募戦略の一部として制作

実は、受賞を目指す戦略の一つとして、応募時に簡易的な予告CMも公開しました。
限られた応募期間の中で、アプリの存在や企画の面白さを少しでも印象づけるためです。
短期開発ではありましたが、単にアプリを作るだけでなく、「どう見せるか」「どう期待感を作るか」も含めて応募準備を進めました。
03. インド式算数をアプリにする難しさ
課題整理
インド式算数は面白いが、初心者には判断が難しい

書籍などを含めて「インド式算数」を調査すると、2ケタのかけ算以外にも、多くの種類の計算式が存在することがわかりました。
たとえば、「この数字の組み合わせの場合は、この計算方法を使う」「別のパターンでは、別の式を使う」といったように、状況に応じて使う計算方法を判断する必要があります。
つまり、インド式算数は一つの万能公式ではありません。
1つ覚えればすべてのかけ算に使えるというものではなく、数字の特徴を見て、どの方法を使うべきかを判断する力も必要になります。
日本の子どもにとって混乱しない設計が必要だった
日本の算数教育に慣れている子どもにとって、インド式算数は新鮮で面白い一方、説明の仕方によっては混乱を招く可能性があります。
特に、2ケタのかけ算は、暗算力や基礎計算力を伸ばす可能性がある一方で、途中計算の意味や手順を理解しないまま進めると、ただの「覚えにくい公式」になってしまいます。
そこで私は、アプリのコンセプトとして、難しい計算手順をそのまま見せるのではなく、子どもが感覚的に遊べるようにすることを重視しました。
アプリでのコンセプト
インド式算数の中でも、特に「2ケタのかけ算」は、基礎計算力や暗算力を養う題材として魅力があります。
中学で習う因数分解の「たすきがけ」にも似た考え方があり、ルールを理解して習得できれば、計算力の向上につながります。
私はプランナーの立場として、この難解に思える2ケタのかけ算を、子どもに「シンプルな感覚」で遊んでもらえるようにすることに注力しました。
04. アプリで工夫した学習体験
体験設計
難しい計算を、短時間で遊べる学習体験に変える

このアプリでは、2ケタのかけ算を段階的に学べるように、基礎コースや採点ルールを設計しました。
ポイントは、ユーザーに「間違えたら終わり」と感じさせないことです。
学習アプリで大切なのは、正解したときの達成感だけでなく、間違えたときに見直し、再挑戦できる導線を作ることだと考えました。
私が企画に込めた要点
- 3段階の基礎コースを設けました。応用コースと同じレイアウトを3分割にし、段階的に学べるようにしました。
- 不正解で減点するのではなく、途中計算を見直して修正すれば加点される仕組みにしました。
- 1ターンごとに約5段階の結果を表示し、最高レベルを目指す目的を提示しました。
- 最高レベルに近づくための対策を「通信簿」としてアドバイスする設計にしました。
- 当初は全10問、約8分の想定でしたが、ユーザー心理を考慮して全5問、約3〜4分に変更しました。
- 暗算の快感を味わってもらうために、暗算の量に応じたボーナス点を設定しました。
- 計算速度の理想となる20秒、30秒でのボーナス点を設定しました。
短時間で終わるから、もう一度遊びたくなる
学習アプリは、1回のプレイ時間が長すぎると、継続しにくくなります。
特に子ども向けの場合、集中力や達成感のバランスが重要です。
当初は全10問で約8分の構成でしたが、反復練習しやすくするため、全5問で約3〜4分に変更しました。
短時間で終わることで、もう一度挑戦しやすくなり、自然と反復学習につながると考えました。
05. 採点と通信簿の設計
評価設計
5段階評価で、次の挑戦につなげる

このアプリでは、ただ正解数を表示するだけではなく、プレイ結果を5段階で評価し、通信簿のようにフィードバックする設計にしました。
順当に正解すれば10点。
誤答しても、途中計算を見直して再正解すれば5点。
さらに、速答や暗算の内容に応じてボーナス点を設定しました。
こうした点数をもとに、ユーザーの実力やプレイ内容に合った評価を表示します。
減点よりも、見直しと再挑戦を促す
学習アプリでは、間違いをどう扱うかが重要です。
間違えたら減点されるだけだと、ユーザーは失敗を避けようとします。
しかし、途中計算を見直して正解にたどり着ければ、学習としては大きな価値があります。
そこで、不正解を単なる失敗として扱うのではなく、見直して修正すれば加点される仕組みにしました。
これは、子どもに「間違えても考え直せばいい」と感じてもらうための設計です。
最高レベルを目指すゲーム性
間違えたまま放置し、理解を深めないまま進むと、最下位の評価になります。
一方で、基礎力が身につき、速度や暗算も使いこなせるようになると、最高位を目指せます。
単純に正解するだけでなく、正確さ、スピード、暗算力を組み合わせて評価することで、ゲーム感覚で上達を目指せるようにしました。

06. Webアプリ版の短期開発
短期開発
東京と京都の遠隔開発で、約5日間で制作

応募に利用したWebアプリ版の制作期間は、約5日間でした。
締切日を考慮する中で、早期に応募することも私たちの作戦でした。
私が2日間で構想とUIを制作し、ペンギンさんが3日間でプログラミングを担当する形で進めました。
私は東京在住、ペンギンさんは京都在住。
遠隔でやりとりしながら、短期間でアプリを形にしていきました。
短期開発で意識したこと
時間が限られていたため、すべての機能を完璧に作るのではなく、受賞に必要な体験価値が伝わることを優先しました。
特に、以下の点を重視しました。
- 2ケタのかけ算を学ぶ体験が直感的に伝わること
- 子どもが途中で離脱しないよう、プレイ時間を短くすること
- 結果表示で達成感と再挑戦の理由を作ること
- Webアプリとして、PCでも遊べる体験にすること
受賞パーティでは、東京と京都の遠隔開発で、約5日間で制作したことに驚かれました。
短期開発ではありましたが、計算ロジック、UI設計、採点、通信簿の体験を最低限つなげられたことが、評価につながったと感じています。
下記ボタンで「Webアプリ版」を試技いただけます。
PCでも遊べるWebアプリ版が、『docomoゼミWebアプリラボ』で受賞しました。
07. iPhone版の公開
iPhone版展開
Webアプリ版から、iPhone版へデザインを一新

後日、iPhone版を開発する際に、デザインを一新し、機能も強化しました。
Webアプリ版では、短期開発で受賞に必要な体験を優先しました。
一方で、iPhone版ではスマートフォンで使うことを前提に、画面構成や操作感、見た目のわかりやすさを改善しました。
スマートフォンで遊びやすい体験へ
iPhone版では、子どもが片手で操作しやすいこと、計算の流れが見やすいこと、結果がわかりやすいことを意識しました。
Webアプリ版で得た反応や課題を踏まえ、よりアプリらしい見た目に整えています。
教育アプリであっても、見た目が堅すぎると遊ぶ前に距離を感じてしまうため、楽しく挑戦できる印象を大切にしました。

※2015年3月〜2016年3月までApp Storeで公開しておりましたが、2016年4月に公開終了いたしました。
07-2. リニューアルUIイメージ
08. 参加して学んだこと
学び
教育アプリでは、正解よりも続けたくなる体験が大切
このアプリ制作で学んだのは、教育アプリでは、単に正しい知識を伝えるだけでは不十分だということです。
特に、子ども向けの学習アプリでは、難しい内容をいかに自然に体験へ落とし込むかが重要になります。
インド式かけ算のロジックは面白い一方で、そのまま説明すると難しく感じられる可能性がありました。
だからこそ、私はUI設計やゲーム設計の中で、次のような点を大切にしました。
- 難しい計算を、段階的に学べる構成にする
- 間違いを失敗ではなく、見直しの機会にする
- 短時間で遊べるようにして、反復しやすくする
- 採点や通信簿で、次に挑戦する理由をつくる
- 暗算や速答にボーナスを設け、成長を実感しやすくする
共同開発で見えた役割分担の大切さ
ペンギンさんは、元数学教師としての知見とプログラミング力を活かし、計算ロジックと実装を担当しました。
私は、ユーザー体験、UI、ゲーム性、プレイ時間、採点設計などを中心に担当しました。
この役割分担があったからこそ、短期間でもアプリとして形にできたと思います。
教育の専門性、実装力、UI/UXの視点が組み合わさることで、単なる計算ツールではなく、遊びながら学べるアプリへ近づけることができました。
09. まとめ
まとめ
インド式かけ算を、子どもが遊べる教育アプリへ
『docomoゼミWebアプリラボ』で最優秀賞を受賞した「インド式かけ算アプリ」は、元高校数学教師のペンギンさんとの会話から生まれた教育アプリでした。
2ケタのかけ算をテーマにしながら、単に計算式を教えるのではなく、子どもが短時間で挑戦し、間違いを見直し、通信簿で結果を確認し、もう一度遊びたくなる体験を目指しました。
Webアプリ版は約5日間という短期開発で制作し、東京と京都の遠隔開発で進めました。
その後、iPhone版ではデザインを一新し、スマートフォンで遊びやすい体験へ改善しました。
この経験は、私にとって、教育アプリにおけるUI/UX設計、ゲーム性、学習体験、共同開発の役割分担を学ぶ大きな機会になりました。
難しいものを、わかりやすく。
正しいだけでなく、続けたくなる体験へ。
この考え方は、その後のプロダクト設計にもつながる大切な学びになっています。