フリーランスでも上流工程に関わったデザイナーの実践 -Interview-

前談

フリーランスが上流工程に関与する価値とその意義

フリーランスという雇用形態では「上流工程には関われないのでは」と思われることがあります。しかし実際には、職場の風土、上司や仲間の考え方、そして自身のマインドセット次第で、雇用形態に関係なく上流工程に深く関与することは十分に可能です。

フリーランスのメリットは、デザイナー業に専念しやすいこと。正社員では断りにくい本業外の仕事も、フリーランスなら領域を守りながら、仲間が困っているときだけサポートする形をとりやすく、精神的なゆとりを保ちながら働けます。

司会

フリーランスでは、雇用形態が正社員ではないため、上流工程に関与しにくいのでしょうか?

いいえ、そんなことはないと思っています。実力主義・成果主義において、年齢や雇用形態は無関係のフラットであるべき社会になってきていると思います。私はフリーランスでも積極的に上流工程に関与できました。

司会

フリーランスは担当領域が区切られてますよね?

そうですね!区切られているのはメリットです。「上流工程への関与」はデザイナーの職域内での成長機会だと思っています。正社員だとデザイナー以外の仕事も断りづらくハードワークの要因になりますが、フリーランスはデザイナー業に専念しやすく、困っている仲間をサポートしやすい体感がありました。

最初の転機

「井の中の蛙」からの脱却|デザイナーとしての自己改革

コロナ禍を機に、UI/UXデザイナーとして本格的にキャリアを再構築しました。最初の転機となったのは、飲食系セルフオーダーアプリのUXディレクターとして参画したことです。ロジカルに業務を進める優秀なプロダクトオーナー、データサイエンティスト、開発者たちとの出会いが、自分のキャリアを根本から問い直すきっかけとなりました。

アジャイル開発では定量データと定性データを併用し、課題の粒度を選定しながら要件定義を進めることを学びました。リリース前から成果検証の計画を立て、データに基づいた意思決定ができる体制を整えることの重要性を実感しました。

司会

まず、コロナ禍の時期から「UI/UXデザイナー」として転機を迎えた経験について教えていただけますか?

最初に飲食系セルフオーダーアプリのUXディレクターとして参画しました。そこで出会った優秀なチームメンバーたちを通じて、従来の自分が「まだまだ井の中の蛙」だと痛感し、ゼロから勉強し直すモチベーションが高まりました。

司会

どのようにして自分をアップデートされたのですか?

コロナ禍でフルリモートだったため、オンラインセミナーや朝活を通じてアートディレクターやCDOなど経験豊富なデザイナーの皆様からご指導いただき、社内外でのキャッチアップを重ねました。多くのデザイナーたちとの対話を通じて、未来に必要なデザイナー像が見えてきました。

目指すべきデザイナー像

プロダクトオーナーと開発の橋渡しを担うUI/UXデザイナー

アジャイルで業務を進める上で、UI/UXデザイナーは上流のプランニングと実装の橋渡しを担う役割が求められます。プロダクトオーナーの視点と実装の視点を両方持つ、ゼネラリスト的なUI/UX要素が必要と感じました。

私が当時強化したかったスキルは「案件検討のアウトプットを高速で回す能力」です。同僚のプロダクトオーナーが長けていたこのスキルと自分を比較し、「課題の粒度を判断し、実行に移すべき最適解を具現化できる能力」がデザイナーにも必要だと感じました。

  • 疑うチカラ:課題が案件化されていても「本当に正しいのか?」と疑って深掘りする
  • 仮説の論理的思考:課題を進めづらい時は仮説思考で処理する
  • チーム運用:どのスキルレベルのメンバーでも業務を回せるようテンプレート化する
司会

目指すべきデザイナー像について、もう少し掘り下げて教えてください。

アジャイルで業務を進める上で、UI/UXデザイナーは上流のプランニングと実装の橋渡しを担うことが多い。そのため、プロダクトオーナーの視点と実装の視点を併せ持つ、ゼネラリスト的なUI/UX要素が必要だと感じました。

フリーランスとしての成長

求人検索エンジンでの上流工程への深い関与

次のステージとして参画した求人検索エンジン企業では、「染み出し、はみ出し」をCEOが歓迎する風土の中で、フリーランスでありながらも上流工程に深く関与し、プロジェクト全体のデザイン戦略をリードしました。2年間の在籍中に3度デザインシステムを再構築するという大きな挑戦に取り組みました。

デザインシステムの構築では、いつ・何を・どの手順で・どこまでやるかをデザイナー同士で丁寧に会話しながら整理しました。単体プロダクト対応か複数プロダクト対応か、デザイントークンの設計、端末対応範囲、実装管理方法など、多くの判断指標を事前に整理することで決断のスピードを上げることができました。

  • デザイントークン整備:ベースとなるトークンを定め、どのメンバーでも同品質を生成できる規定作り
  • ABテスト:データに基づく意思決定でユーザー体験向上に成功
  • 新規機能追加:法務部とユーザーポリシーや文言を確認し、要件定義からUI設計まで深く関与
司会

次の就業先ではどのような経験を積まれたのですか?

求人検索エンジンのUI/UXデザイナーとして、特に「1→10フェーズ」における成長支援とデザインシステムの構築に注力しました。フリーランスという雇用形態でバッファがあることで、困っている組織課題やプロダクトの設計にも時間を割けて、ワークアズライフの精神でフラットな環境を感じていました。

司会

参考にしたサイトや書籍はありますか?

課題が浮き彫りになった方がサイトや書籍で探したり、学習意欲は高まりますよね。ただ、デザイナーが自ら考察して考えることが最重要だと思っています。この考察過程のナレッジがチームや自身の成長に重要だと考えています。

医療系アプリでの取り組み

リードデザイナーとして上流工程からプロジェクトを牽引

医療向けWebアプリでは、グロースハックを担当しUIデザイナーとして従事しました。C向け・B向けの管理画面でのUI/UX業務や販促活動に取り組みながら、3つのアプリ(問診アプリの1→10フェーズ成長サポート、管理画面リニューアル、0→1フェーズの新規アプリ)を同時並行で担いました。

デザイナーが私ひとりという環境で、全社プロダクトのデザインシステム統括から新規アプリの監修まで、上流工程のすべてに関与しました。参画直後にまず課題整理とマーケティング・カスタマーサクセスの整理を遂行し、成果検証の仕組みをチームで作ることから始めました。

司会

次の就業先では、どのような取り組みをされていますか?

医療向けWebアプリのグロースハックを担当し、新規アプリのリリースや既存アプリのUI/UX改修で成果を上げました。デザイナーが私のみで上流工程から関与し、全社プロダクトのデザインシステムの統括や新規医療アプリの監修を担当しています。

司会

新規アプリの監修では、どのような役割を担っているのですか?

プロダクトオーナーやプランナーと協力し、管理画面の設計を担当しています。ユーザーのニーズを的確に捉え、要件定義からUI設計まで関与しています。前の2社での経験の集大成として、上流から一気通貫で設計できる体制を整えています。

フリーランスだからこその価値

多様な視点と自主的な学びがプロジェクトを前進させる

フリーランスとして複数の業界やプロジェクトに関与することで、異なる業界の知見や最新の手法を持ち込める強みがあります。年齢や性別・雇用形態に関係なく、教わることを恥ずかしいと思わないオープンなコミュニケーション姿勢が、チームの意思疎通をスムーズにします。

上流工程に関与したいフリーランスへのアドバイスとしては、積極的に関与する姿勢を持ち続けることが最も重要です。自ら提案し、チームやプロジェクトに貢献する意欲を示すことで信頼が生まれます。他者から学ぶ姿勢を持ち続けることで、自身の成長とプロジェクトの成功に寄与できます。

司会

フリーランスであることがプロジェクトにどのように影響しましたか?

多様な業界やプロジェクトに関与できるため、新しい視点やアイデアを持ち込めます。自主的に学び続けることで最新の知識やスキルを活かせる点も大きな価値だと思います。

司会

上流工程に関与したいフリーランスへのアドバイスはありますか?

積極的に関与する姿勢が大切かなーと思います。自ら提案し、チームやプロジェクトに貢献する意欲を示すことで、信頼を得られると思います。他者から学ぶ姿勢を持ち続けることで、自身の成長とプロジェクトの成功に寄与できれば嬉しいです。

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