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前談
今回は家庭教師の民間企業での業務に焦点を当てて、お話を伺いたいと思います。様々な業界でご経験がありますが、特に教育業界での経験が多いのですよね?
はい、そうです。特に小中学校のICT講師をしていた経験から、「未来の子どもたちや教師の支援になること」に関心がありました。
志望動機はどんな感じだったんですか?
民間企業から“未来の子どもたちに役立つこと”を!
学校教育でやりたいと思っていた構想を、民間企業(家庭教師業界)で頑張ってみようと考えました。
入社後に紆余曲折はあったのですが、主題のとおり「英語動画教材の開発」、「オンライン家庭教師の新規事業立ち上げ、LMSの企画」を行いましたので、そのお話をさせていただきます。
この時は、何の業務内容を志望して入社したのですか?
入社時は、家庭教師業界での「教材コンテンツ開発」を志望し、「Webディレクター&制作」として内定・入社しました。
しかし入社初日に「コンテンツ開発の特別ミッションが出来たので」と打診があり、参画することになりました。
英語動画教材の開発
この当時、長年ロングセラーとしてブランド認知が高かった「ある英語教材を動画コンテンツ化して欲しい!」というオファーでした。
昭和時代からの著名な英語教材だったらしい!?
私はこの教材の存在を知らず、英語が苦手な私が見ると「つまらなさそう」「イラストも昭和初期のような挿絵が少しあるだけ」「現代の小中学生には昭和感が強いだろう」と感じました。
デザインの一新
そこで著作者の許可をいただいた上で、「デザインを一新しよう!」と目標を設定しました。
入社後に新規事業や配属が変わることが多くありませんか?(笑)
「自分に期待されているなら期待値に応えたい」というスタイルを貫いてきてますが、年齢を重ねると共に説明を丁寧にされることもないので「都合よく扱われている」、「デザイナースキルを高めたい時期にキャリアパスがズレる原因になりました。そもそも人数不足、業務が停滞してるケースが多いですから、基本はハードな現場が多い気がしますね。
ポジティブに考える
短期アサインなら経験として考えても、自身の専門職からズレると中長期目線では、チームとしての大志とか、同僚と気が合って楽しいとか、個人の目標が必要かと思います。
既存の英語教材書籍を、動画にアレンジして改修
プログラミング教室で教材を作成したり、教師向けの書籍を考察していたことから、池上彰氏のように「わかりやすい!」を目指すことは、UI/UXでも重要な観点だと思っており、これを大事に取り組みました。
過去の経験が活かせてる感じですね。
アウトプットまでのロードマップと手順を考え、体制づくりを実行
大学生アルバイト2名をアシスタントとして雇用しました。しかし、人件費の制約や役員からの「学生に自宅で作業させてはいけない」という指示もあり、納期に間に合わない可能性がありました。
当初、私が全て動画編集ソフト(Premiere)で作成し、アルバイトに校正チェックだけをお願いする予定でしたが、負荷が大きく、納期に間に合わないことに気づきました。
UI/UX観点、プロジェクトマネジメントの観点で解決策を立案
そこで、「品質・コスト・納期(QCD)の判断で優先事項ごとに作業パターンを出し、メリット・デメリットを検討する」ことにしました。
動画のアニメーションを含むPremiereでの作業量を減らし、PowerPointで原案を作成し分業できる仕組みに変更しました。
大学生アルバイトに求めたこと
スライド作成、文字校正、完成品のチェックを担当してもらいました。受験を終えて間もない大学生の視点で「わかりやすいか」を判断し、品質向上を図りました。これにより、品質を担保しつつ動画を納期内に完成させました。
動画教材の離脱、未活用を減らす施策を、
考察し始めた日々
ユーザーの学習継続率をいかに担保するか
英語コンテンツをリリースした頃、私は「このコンテンツの離脱者をどう減らすか?」を考え始めました。楽しみながら継続できるように、ソーシャルゲーム業界での経験を活かし、ゲーミフィケーションの要素を取り入れる方法を検討しました。
休日中も仕事のこと考えて企画を考えていたり、教育EXPOも仕事を休んで行ってましたね。
情報収集して、どのような企画を考えておられたのか?気になりますねー
当時考えていた私のモック(職場には未提出)
毎日ログインしたくなる遊び心を盛り込みました。
せっかくの構想は、会社で採用→実行されなかったのですか?
相談しようと思ってた時期に新規事業がスタート
e-laerningの動画や決済フローなど協議している最中に、プラン考察してたのですが、お蔵入りになりましたね。
「オンライン家庭教師」の立ち上げでカスタマーサクセスを担当
会社の主幹事業にアサインされる
「せっかく制作した英語動画を広めたい」と思いつつも、他の同僚と関わりたい気持ちもあり、組織の仕組みづくりに取り組むことになりました。
カスタマーサクセスで授業品質の向上をKPIに設定
オンライン家庭教師の戦略は何だったのでしょうか?
オンライン家庭教師のサービスこだわり
このアナログ管理を、新規事業でデジタル管理にDXしていくニーズがあったのでしょうか?
そうですね。事業ミッションを意識しながら、LMSに必要不可欠、優先すべき要件に整理していきました。運営を続ける中で生じたニーズ
品質向上のために、どのような施策を行ったのですか?
私が着任後にCSで遂行したこと
- 新規講師や生徒、保護者向けのオンボーディング講習の整備
- 社内スタッフ全員が一定レベルの説明ができるようロールプレイ研修を実施
- オンボーディング時の説明スクリプトを作成
- 講習未受講の講師・生徒の管理
- マニュアル冊子の作成
- オンボーディング用の動画教材の制作(Zoomや書画カメラの設定方法、アプリの操作方法など)
ゼロからCSで仕組みを作り上げたことは、社内で評価されたのではないですか?
社内の人事評価制度には独特なルールがあり、私の評価も二分していました。
私は期待値に応えることと、生徒や講師の声も直接聞けて満足感はありました。
社内では褒めてくださる方もいましたが、一方で女性部長から陰湿な嫌がらせを受けることが増えました。
社長も不祥事を起こし、社内は離職者と新入社員の出入りが激しく、厳しい環境でした。
教育業に参画したのはユーザーファーストの想いから
私は講師や生徒と直接関わる部署にいたため、「未来の子どもたちのために」との想いが強く、理念とのギャップに葛藤がありました。
退社後は、同僚たちの教育コンテンツをサポートすることになります(別ページで紹介)。
運営を続ける中で生じたニーズ
- カリスマ講師の授業をグループレッスンとして共有したい
- 良い授業をしている講師を見つけたい(Zoom録画で授業内容をチェック)
LMSの必要性
- 日程管理、学習進捗管理、評価をより可視化したい
講師や生徒が増える中で、デジタルによる仕組み化が必要になってきますね。
従来のシステムの概要
オフライン授業で管理できていた項目は以下のとおりです。
- 講師と生徒の担当関係
- 契約期間
- 授業日時
- 講師プロフィール
- 生徒プロフィール
- 生徒や保護者からの講師の評価アンケート(FAXやメールで収集)
- 講師からの授業報告レポート(FAXやメールで収集)
既存システムに加えて、新規事業でもデジタル管理が求められているのですね。
はい。講師と生徒の数が増え、その管理が必要です。新規事業では「良い講師を増やすこと、その査定=授業品質の担保」が事業ミッションでした。大規模改修前に、簡易的な応急処置を行うことが求められていました。
初期フェーズの要件
学習報告レポートと、全体目標からの進捗状況がグラフでわかる画面を作成することにしました。FEフレームワーク=bootstrapを活用しました。
あとがき
気の合う同僚たちが、次の教育現場で活躍することを応援する!
未来の子どものために!それを教える教師のために!運営側も同じ方向性が必要だと思う。
良いサービスを企画・開発しても、運営する組織や経営陣、メンバーが問題を抱えていると、自信を持って「良いサービスだ」とお薦めしづらくなります。
教育業で子供を扱う業態ですから、ネガティブニュースが流れる母体だと、理念を正しく実行できてるか?迷う従業員も増えますよね。
私は気の合う同僚らとの一期一会もありました。業務も真摯にはやり遂げましたしね。
「良い理念で、良いサービスを、良い仲間と楽しく提供できるといいね」と語り合い、退職しました。
離職後にLMSの開発支援をすることになるのは、また別の機会にお話しします。